過疎地のガソリンスタンド維持へ重点支援 全国50カ所程度を「地域インフラSS」候補に

2026年08月25日 12:29

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ガソリンスタンドの給油設備。全国でSSの減少が続くなか、資源エネルギー庁は過疎地域の燃料供給網維持に向け、「地域インフラSS」候補を選定し、重点的な取り組みを進める(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

全国でガソリンスタンド(SS)の減少が続くなか、資源エネルギー庁は過疎地域の燃料供給網を維持する取り組みを強化します。全国のSSは1994年度末の6万421カ所から2025年度末には2万6,412カ所まで減少し、SS過疎市町村は615市町村に上っています。2026年度は、最寄りのSSまでの距離がおおむね15キロ以上となる全国50カ所程度のSSを「地域インフラSS」候補として選定。自治体やSS事業者などによる燃料供給計画の策定を支援し、設備投資などへの重点支援につなげます。

本文
 全国でガソリンスタンド(SS)の減少に歯止めがかからないなか、経済産業省資源エネルギー庁は過疎地域の燃料供給網を維持・強化する新たな対応策に乗り出します。SSを単なる民間の販売店舗ではなく、地域生活や産業、防災を支える「地域インフラ」と位置付け、維持が必要な拠点を重点化し、国と自治体、事業者が連携して地域の燃料供給網を支える方向を打ち出しています。

 同庁のまとめによると、全国のSS数は1994年度末の6万421カ所をピークに減少傾向が続き、2025年度末時点では2万6,412カ所と半分以下にまで落ち込みました。背景には、車両の燃費向上などに伴う需要減少に加え、人手不足や後継者難、施設の老朽化や設備更新に伴う投資負担が存在します。

 これに伴い、過疎化が進む地域での「SS過疎地」の拡大が深刻化しています。同庁が「市町村内のSSが3カ所以下」または「最寄りSSまで15キロ以上離れている住民がいる」と定義するSS過疎市町村は、2025年度末時点で全国615市町村に達し、両方の条件に該当する自治体も57市町村存在します。SSの消失は、住民の自家用車の給油だけでなく、農林業や建設業の作業機械、消防車・除雪車などの公用車両への給油、高齢者世帯への暖房用灯油配送など、地域の生活や産業活動を支える燃料供給に影響する課題となっています。

 これまでも国は、自治体による計画策定や設備整備への支援を行ってきましたが、支援開始からの10年間で計画策定は13件、施設整備は2件にとどまっていました。SS過疎自治体の6割が課題を認識しているものの、実際に対策へ踏み出している自治体は1割にすぎず、具体的な行動につながっていない実態が浮き彫りとなっていました。

 こうした状況を踏まえ、同庁は2026年度より過疎地の中でも特に維持の必要性が高い拠点を候補として選び、重点的に取り組む方針を打ち出しました。外形的な基準として「最寄りSSまでの距離がおおむね15キロ以上」にある全国50カ所程度のSSを「地域インフラSS」の候補として選定。経済産業局や石油組合に設置される過疎相談窓口を通じて、自治体やSS事業者、元売り事業者などが連携して策定する「地域の燃料供給計画」を伴走支援し、計画に基づく設備投資等を支援する新たなスキームの整備を検討しています。同ガイドラインについても、令和9(2027)年度概算要求の公表後に改訂する予定です。

 新たなガイドラインでは、地域のSS維持に向けて自治体が取り得る対応策も示しています。具体的には、公用車や庁舎用燃料の地元SSからの調達、災害時の優先供給協定を背景とした随意契約の活用、地域住民への利用呼びかけなどが盛り込まれました。また、大規模販売店を新たに誘致・立地する際には、既存の地域SSネットワークへ与える影響を十分に考慮すべきである点も明記されました。

 販売量の急激な増加が見込みにくい過疎地においては、運営コストの削減も不可欠です。ガイドラインでは、AI給油許可システムやセルフ化、コンテナ型給油所、簡易計量機などを活用したローコスト化の手法も示されています。

 公的支援を強化する背景には、災害時対応への強い懸念もあります。ガイドラインではSSを災害時におけるエネルギー供給の「最後の砦」と位置付けています。地震や大雨で道路網が寸断された場合、地域内のSSに残る燃料は一種の地域分散備蓄として機能し、自家発電設備を備えた住民拠点SSや中核SSは停電時でも緊急車両や重要施設への給油を継続できるためです。

 脱炭素化が進むなかでも、地方や寒冷地においてはガソリン・軽油車両や暖房用灯油の需要が直ちに消失することはありません。人口減少下において「ガソリンを販売する一店舗」の維持から「地域の燃料インフラ」の共同維持へ。国と自治体、事業者が一体となって地域生活の足元を支える持続可能な体制を構築できるかが、今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)