転職者採用予定63.6%、5年で10ポイント上昇 「中途優先」40%、厚労省調査

2026年09月25日 16:03

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ビジネス街を行き交う人々。厚生労働省の2025年「転職者実態調査」では、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は63.6%となり、2020年調査から10.3ポイント上昇した。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

厚生労働省が9月25日に公表した2025年「転職者実態調査」で、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は63.6%となった。前回2020年調査の53.3%から10.3ポイント上昇した。採用予定がある事業所のうち「転職者を優先して採用したい」は40.0%(前回35.7%)に上昇する一方、「新規学卒者を優先して採用したい」は9.8%(同12.3%)へ低下した。調査は5人以上の常用労働者を雇用する全国約1万7000事業所と、そこで働く転職者約1万3000人を対象に実施された(有効回答率:事業所52.7%、個人52.3%)。

本文
 厚生労働省は9月25日、2025年「転職者実態調査」の結果を公表しました。5人以上の常用労働者を雇用する全国の事業所とそこで働く転職者を対象に調査したもので、労働市場における企業の採用意欲や転職者の労働移動の実態が両面から明らかになりました。なお、前回調査は2020年に実施されています。本調査における「転職者」は、雇用期間の定めがないか1年以上の雇用期間で働く一般労働者(フルタイム労働者)のうち、当該事業所に雇用される前の1年間に他企業での雇用経験があり、2024年10月1日から2025年9月30日までに採用された人などを対象としています。

 今後3年間に「転職者を採用する予定がある」と回答した事業所の割合は63.6%となり、前回2020年調査の53.3%から10.3ポイント上昇しました。産業別では情報通信業が72.6%、建設業が70.9%、運輸業・郵便業が69.4%、製造業が68.3%と高い水準を示しています。採用予定のある事業所の中で採用方針を尋ねたところ、「転職者を優先して採用したい」との回答が40.0%に達し、2020年調査の35.7%から拡大しました。一方で「新規学卒者を優先して採用したい」は12.3%から9.8%へ低下し、残る50.2%は「どちらともいえない」としています。

 すでに転職者が在籍している事業所の割合も広がっています。一般労働者がいる事業所のうち転職者がいる事業所は38.2%となり、前回調査(33.0%)から5.2ポイント上昇しました。産業別では不動産業・物品賃貸業が53.9%で最も高く、情報通信業(49.0%)、医療・福祉(48.8%)が続きます。事業所規模別にみると、1000人以上の規模では94.6%、300~999人では86.1%、100~299人では77.7%の事業所に転職者が在籍しており、規模が大きい事業所ほど高水準となっています。

 企業側が中途人材の採用を進める背景には、人員構成の適正化や特定の職種における即戦力ニーズがあります。転職者を採用する際に重視した事項(複数回答)では「人員構成の歪みの是正」が48.3%で最多となり、2020年の43.8%から4.5ポイント上昇しました。「既存事業の拡大・強化」は39.5%、「組織の活性化」は31.7%でした。

 採用理由を職種別にみると、明確な違いがみられます。「管理的な仕事」や「専門的・技術的な仕事」では、「経験を活かし即戦力になるから」(それぞれ60.7%、64.1%)や「専門知識・能力があるから」(同50.2%、51.2%)が突出して高くなっています。特に1000人以上の大企業規模の事業所における専門的・技術的な職種では、即戦力性(86.2%)や専門能力(86.1%)を求める割合が8割を超えました。これに対し、事務、販売、サービス、生産工程、輸送・機械運転などの職種では、「離職者の補充のため」が採用理由のトップを占めています。なお、転職者がいる事業所の82.6%が転職者への教育訓練を実施しており、このうち計画的OJTは79.8%、OFF-JTは64.5%となっています。

 一方で、働く側の離職理由と次の勤務先の選定基準からは、転職者の多角的な意識がみえてきます。前職を離職した主な理由は「自己都合」が81.3%(前回76.6%)を占めました。自己都合離職者にその理由(3つまで選択)を尋ねたところ、最も多かったのは「賃金が低かったから」の25.5%でした。次いで「会社の将来に不安を感じたから」(25.2%)、「満足のいく仕事内容でなかったから」(24.7%)が僅差で続いています。性別では、男性は「賃金が低かった」(29.6%)が最多だったのに対し、女性は「満足のいく仕事内容でなかった」(23.5%)が最高となりました。

 しかし、転職者が現在の勤務先を選んだ理由(3つまで選択)をみると、最も高かったのは「仕事の内容・職種に満足がいくから」の40.2%でした。「自分の技能・能力が活かせるから」が38.4%で続き、「労働条件(賃金以外)がよいから」は23.1%となっています。離職理由では賃金の低さや会社の将来への不安が上位となった一方、現在の勤務先を選んだ理由では仕事内容や自身の技能・能力を活かせることが上位となっており、転職に関わる条件が一つではないことが調査結果からうかがえます。

 今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所の割合が2020年調査から上昇するなか、企業側が転職者採用で重視する事項や職種別の採用理由と、働く側の離職理由や転職先を選ぶ理由の双方が、5年ぶりの調査から示されました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)