土砂災害対策、人口減少・気候変動踏まえ見直しへ 国交省が第3回検討会

2026年10月02日 07:42

国交省

国土交通省。10月13日に「今後の土砂災害対策のあり方検討会」の第3回会合を開催し、人口減少や気候変動、砂防施設の老朽化、担い手不足などを踏まえた提言の取りまとめに向けて議論する(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

国土交通省は10月13日、「今後の土砂災害対策のあり方検討会」の第3回会合を開催します。議題は「提言(案)について」で、これまでの議論を踏まえ、提言の取りまとめに向けた検討が行われます。背景には人口減少に伴う国土の変容、気候変動による災害の激甚化・頻発化、砂防施設の老朽化、建設業の担い手不足といった課題があります。第1回および第2回会合の資料や議事要旨によると、議論は単に砂防施設を建設するだけでなく、人口減少社会における保全対象の考え方や、地域社会・産業の維持まで含めた土砂災害対策の考え方を見直す方向へ議論が進んでいます。

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 国土交通省は10月13日、「今後の土砂災害対策のあり方検討会」の第3回会合を開催します。会議では「提言(案)について」を議題とし、これまでの検討を踏まえて、とりまとめに向けた議論が行われます。

■土砂災害対策を取り巻く4つの構造変化

 国交省は今回の検討会で、土砂災害対策を取り巻く環境の変化への対応を議論しています。主な課題として挙げられているのは以下の4点です。

1.人口減少に伴う国土の変容です。居住エリアや土地利用の変化に対し、従来の基準や優先順位による対策が適しているかが問われています。

2.気候変動による災害の激甚化・頻発化です。豪雨の発生頻度増加などに対し、従来の計画規模や施設設計の再評価が必要とされています。

3.既存の砂防施設等の老朽化です。老朽化する砂防施設等の機能を限られた予算・人材の下でどう維持・更新するかが課題となっています。

4.建設業における担い手不足です。施工管理や維持管理を担う人員の確保が困難になる中、生産性向上などの対応が求められています。

■「何戸守るか」から「地域・生業をどう維持するか」へ

 第1回(6月)および第2回(8月)の会合資料や議事要旨によると、検討会では従来の対策方針に対する根幹からの問い直しが行われています。

 第1回会合では、保全対象戸数だけでなく、地域全体の将来像や土地利用方針を踏まえて対策を考えるべきとの意見が示されました。さらに第2回会合では、現行の保全人家戸数による採択要件は人口増加時代に優先順位を決めるために設けられたものであり、人口減少社会においてはその考え方を見直す必要があるとの明確な問題提起がなされています。

 特に第2回の議論では、阿蘇地域の農業・畜産・観光や、新潟県山古志地域の養鯉など、土砂災害リスクと隣接しながら地域経済や文化を支える実例が提示されました。「保全人家戸数」を中心とした考え方から、地域産業や歴史・文化、生業などを含めた社会的存在意義を総合的に評価し、地域全体を維持するための施策として土砂災害対策を位置付ける方向性が示されています。

■災害リスクへの予防的対応とアセットマネジメント

 豪雨や地震、林野火災に伴う土砂流出など多様な災害リスクが顕在化する中、第1・2回の議論を踏まえた提言骨子案では、気候変動を見据えた具体的なリスクマネジメントの方向性が示されています。

 骨子案では、気候変動を踏まえた計画規模・設計外力の再評価や、既存の砂防施設等における性能不足の定量的な評価が盛り込まれています。また、ハザード情報等に基づく事前の予防的対策と、想定を超える災害が発生した場合の被害拡大防止や速やかな復旧・復興に向けた役割分担・リスク分担を組み合わせたリスクマネジメントや、限定された予算・人材の下で基幹的な施設等を優先的に保全するアセットマネジメントの導入、機能低下が深刻化する前の予防保全手法が検討されています。

■施設の維持管理と技術による担い手確保

 インフラの維持管理については、国直轄事業で整備された施設等のうち、対策完了後も管理が著しく困難な箇所について、国と都道府県の役割分担や技術的支援のあり方を明確化する方向性が示されています。

 さらに、担い手不足への対応として、遠隔施工技術の導入や自動化の推進が論点となっています。遠隔施工は危険個所における施工の安全性確保にとどまらず、多様な人材の参入を促し担い手の間口を広げる施策としても位置付けられています。また、砂防分野単独ではなく、道路・河川・森林整備などインフラ全体での人材・技術の横断的な確保体制の整備も求められています。

■第3回検討会での提言案とりまとめへ

 第1回・第2回を通じて、人口減少下で「何を守るのか」という根本的な問いから、地域産業・生業の保全、気候変動対応、施設管理、省人化技術の活用まで多角的な議論が重ねられてきました。10月13日の第3回検討会では、「提言(案)について」を議題に、これら一連の論点を踏まえた議論が行われます。人口減少下での保全対象の考え方や、気候変動への対応、施設の維持管理、担い手確保について、提言案でどのような方向性が示されるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)