JR東日本、倒木で年間約130件の輸送影響 約7割は用地外、沿線所有者に管理要請

2026年10月03日 17:49

JR東日本イメージ

線路上への倒木は、樹木の撤去だけでなく鉄道設備や車両の復旧が必要となり、長時間の運転見合わせにつながる場合がある。JR東日本では倒木による輸送影響が毎年約130件発生し、約7割が同社用地外の樹木によるものとしている(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

JR東日本は10月2日、強風や降雪などによる倒木から列車の安定運行を守るため、鉄道沿線の土地所有者に対して線路に近接する樹木の適切な管理や剪定・伐採への協力を呼びかけました。同社では運転見合わせ時間30分以上の倒木による輸送影響が毎年約130件発生しており、その約7割がJR東日本の用地外に生えている樹木によるものです。同社は2025年度に鉄道沿線の樹木約4万6000本を伐採するなど対策を進めていますが、今後は影響が懸念される樹木を管理する土地所有者との連携を一層強化する方針です。

本文
 強風や降雪などで発生する「倒木による運転見合わせ」。列車を止めている木は、果たして鉄道会社の敷地内に生えているものなのでしょうか。

 JR東日本の発表によると、同社管内で発生する倒木による輸送影響の約7割は、同社の用地外にある樹木が原因となっています。線路の敷地内だけを管理していても防ぎきれない、鉄道インフラ防護の構造的な課題が浮き彫りになっています。

 同社では、運転見合わせ時間が30分以上となった倒木による輸送影響が毎年約130件発生しています(台風や大雪による計画運休時を除く)。一度線路内への倒木が発生すると、樹木の撤去作業にとどまらず、損傷した鉄道設備や車両の復旧作業が必要になる場合があります。場合によっては運転再開までに長時間を要するだけでなく、走行中の列車への衝突や窓ガラスの破損など、乗客や乗務員の負傷につながる恐れもあります。

 JR東日本は自社用地内の樹木を定期的に点検し、計画的に剪定・伐採しています。また用地外であっても、線路内へ倒れる恐れを確認した場合は土地所有者と協議し、必要な剪定・伐採を求めています。2025年度には、列車運行への支障が想定される鉄道沿線の樹木について、約4万6000本の伐採を実施しました。

 しかし、倒木の約7割が用地外から発生している現状では、単独での対策だけでは限界があります。JR東日本の用地外にある樹木が倒れ、列車運行に影響するリスクを減らすには、土地所有者による適切な管理が不可欠となります。

 そこでJR東日本は今後、列車運行への影響が懸念される樹木や、輸送影響の大きいエリアの樹木を管理する土地所有者に対し、適切な管理への協力を求める文書を送付していく方針です。日常的な管理のほか、倒木リスクが確認された樹木については必要な剪定・伐採を求め、線路近くで樹木を伐採する場合や、線路内へ倒れるおそれのある樹木を発見した場合などには、同社へ相談するよう呼びかけています。

 なお資料のなかでJR東日本は、用地外からの倒木によって鉄道施設の損傷や列車運行への支障が発生した場合、倒木の原因や樹木の管理状況、被害の状況等に応じて、土地所有者に損害の負担を求める場合があることについても触れています。

 鉄道の安全運行といえば、車両、線路、信号設備といった自社資産の点検整備が思い浮かびます。しかし、倒木による輸送影響の約7割が用地外の樹木によるという実態からは、インフラの安全維持が自社の敷地内だけでは完結しない構造が見えてきます。鉄道を安全・安定的に運行するには、沿線の土地所有者との協力も不可欠になります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)