遺伝子改変の基礎報告書がまとまる 安全性、倫理観に不安の声も

2016年04月28日 08:58

画・遺伝子改変の基礎報告書がまとまる 安全性、倫理観に不安の声も

内閣府の生命倫理調査専門委員会が4月22日、ゲノム編集技術における基礎報告書をまとめた。ゲノム編集とは、遺伝子を壊す・置き換えるなどの方法を用いて遺伝子の取捨選択を行っていく最新技術のことである。

 内閣府の生命倫理調査専門委員会が4月22日、ゲノム編集技術における基礎報告書をまとめた。ゲノム編集とは、遺伝子を壊す・置き換えるなどの方法を用いて遺伝子の取捨選択を行っていく最新技術のことである。「神の領域に踏み込んだ」とも言われるこの技術の報告書内容は、将来不妊治療や遺伝性疾患の予防につながる研究に取り込まれるものとなっている。

 遺伝子組み換えと似た研究だが、ゲノム編集が異なる点は、ピンポイントで遺伝子を置き換えることにある。遺伝子組み換えは膨大な数の実験を繰り返す必要があるが、ゲノム編集は数千倍の速度で遺伝子を操作することが可能。運に任せる、数をこなすなどのゲノム編集を用いて栄養価の高い農作物や家畜を育てる研究も行われている。

 同研究は世界各国から注目を浴びている。2015年にはイギリスで急性リンパ性白血病の治療に使われた。この事例では骨髄移植を行っても、完治したと言える段階ではないが、順調な回復傾向にあるようだ。また、別の事例としてHIVやがん細胞を移植したとの報告もある。

 報告書では、代理出産や第三者による卵子提供などの生殖補助医療、遺伝性の病気に対する予防開発、がんなどの治療方法など、さまざまな研究に広がる可能性を指摘。基礎研究を進めていく方針だ。

 一方で、デザイナーベビーにつながる特定の研究においては倫理的な問題が残るという指摘もある。デザイナーベビーは、受精卵から遺伝子操作を行い、容姿や才能など、親が望む形で生まれてくる子どものことを指す。SFの世界でしかありえなかった技術が、現実に進出してきているのだ。しかし、15年には中国の研究チームが受精卵に対して研究を行ったが、科学者や倫理学者、一般人からも異論の声があがっている。

 内閣府の生命倫理調査委員会もこの点において慎重な姿勢を見せた。基礎報告書では受精卵を子宮に入れるなどの一面においては、安全性・倫理面からの基礎研究であっても、認められないものとされている。(編集担当:久保田雄城)