富士フイルムは21日、「超広幅フジタック」を生産する神奈川工場(フラットパネルディスプレイ材料生産部) 足柄サイト 第3工場の稼動を4月上旬に開始させたことを発表した。新工場は15台目のフジタック製造ラインで、「超広幅フジタック」の中でも、大型液晶テレビの表示方式「VAモード」に使用され、液晶テレビの視野角の拡大やコントラストの向上に寄与する「VA用フィルム」を生産。 従来に比べ最大1.7倍の2300mmの超広幅品の生産が可能で、40インチ以上の大型液晶テレビの効率的な生産に貢献する。
液晶テレビ市場は、低価格化や高性能化によって先進国だけでなく新興国においても需要が拡大しており、中でも40インチ以上の大型液晶テレビの出荷台数が年率30%以上の増加。平成23年には面積ベースでテレビの約50%を占める見込みである。このため、大型液晶テレビの効率的な生産を可能にする「超広幅フジタック」の需要が拡大していることが、今回新工場の稼動を開始した背景にある。同社は「超広幅フジタック」の生産能力増強のため、昨年10月に富士フイルム九州 第2工場第4ラインを立ち上げており、今年10月には同第4工場第7ラインの稼動開始を予定している。これらすべての稼動によって、「超広幅フジタック」の生産能力はフジタック全体の3割以上を占める245百万平方メートルになるという。
さらに、今回の新工場は天然ガスコージェネレーション設備(発電の際に発生する排熱を蒸気や温水で回収し、有効利用する熱電併給システム)による自家発電の電力で稼動を行う。また、生産するフィルムの超広幅化とラインのスピードアップを図るとともに、生産工程で発生する蒸気を徹底して再利用するなどの省エネルギー対策を行うことで、単位面積あたりのエネルギー使用量を従来の半分にまで減らすことに成功している。