エステーと村田製作所 業界を越えたコラボで生まれた新商品

2010年03月29日 11:00

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 家庭用品市場へ積極的に事業展開を始めた村田製作所。イオナイザー技術が、今後の良い先行事例となるか。

 エステー株式会社 <4951> は24日、コンセント式のイオン発生機「ウィルスアタッカー」を新商品として4月より発売すると発表した。

 本体はわずか10数センチ。丸みを帯びたシンプルかつ温かみのある白いボディで、置く場所を選ばない。その下部に、天然ユーカリミント配合のイオン調整水が入った「イオンボトル」と呼ばれる生成水供給ユニットをセットして使用する。本体上部のボタンを押すと、青いリング状のライトが点灯し、ファンが回転して「アタッカーイオン」が発生する仕組み。

 そのイオン発生ユニット部分には村田製作所 <6981> の技術が搭載されている。ムラタといえば、電子部品の総合メーカー。家電や自動車、携帯電話など、あらゆる市場の機器に搭載されているが、同社はあくまで電子部品のメーカーであるため、これまで一般消費者の目にふれる機会は少なかった。しかし、今回の製品では、梱包パッケージにムラタのロゴマークと、同社の電子部品を使用していることが掲載されている。ムラタとしては電子部品メーカーとしてのブランド力が試される製品でもある。

 「ウィルスアタッカー」に塔載されているのは、低電圧・小型のイオナイザーモジュール「イオニシモ」。イオナイザーは、鋭利な針状電極に高電圧をかけ放電させることによって、空気分子をイオン化させる装置。これは従来、エアコンや空気清浄機などに搭載されていたものを「ウィルスアタッカー」向けにカスタマイズした製品となる。同製品に塔載されているイオナイザーモジュールは、ムラタがこれまで主要製品であるコンデンサやトランス、抵抗の研究開発で培ってきた高圧デバイス技術を集約したものだという。

 昨今、家庭だけでなくオフィスや学校などの公共の場でも、健康意識、病気感染の予防意識が高まっている。それゆえ、ウイルス除去、除菌、防カビ、消臭対策は関心の寄せられるところ。「イオニシモ」は、マイナスイオンの発生量とラジカル物質であるオゾンの発生をコントロールできること、低電圧、短時間でウイルス除去が可能なことなど、他社先行品より優れている点も多い。

 希望小売価格は5500円(税抜き)、他社のイオン発生機よりも比較的買い求めやすい価格設定となっている。「空気をかえよう」をスローガンとする家庭用品大手のエステーと、エレクトロニクスのムラタ。珍しいコラボレーション。今回の「ウィルスアタッカー」が一般消費者にどう受け止められるか注目したい。(編集担当:藤原伊織)