富士経済の調査によると、前年比０．８％減の９９９２億円と６年ぶりに１兆円を割り込んだ２０１１年のスキンケア市場。２０１２年は化粧水・乳液・美容液の市場が拡大し、全体市場も前年比０．２％増の１兆８億円が見込まれている。こうした中、次第に気温が下がることで皮脂や汗の分泌も減少し、空気の乾燥とともに肌の乾燥も進む季節を迎え、各メーカーが上記３品目の展開を積極化している。これら基礎化粧品に関しては、化粧品メーカーだけではなく健康食品メーカーも積極的に展開しており、市場の中で存在感を強めている。
みつばち産品を用いた健康食品を手掛ける山田養蜂場は、ローヤルゼリーエキス６０％と天然有用成分を配合した薬用美白美容液「薬用 ＲＪエッセンス」を販売。養蜂家の強みを活かし、ローヤルゼリー特有成分であるデセン酸を含有した山田養蜂場オリジナルのエキスを中心に、メマツヨイグサ種子エキスやトマトエキス・プルーン分解物なども配合しており、潤いや美白など美肌づくりに高い効果が期待できるという。
またコカ・コーラウエストのグループ会社で青汁をメインに展開するキューサイも、「コラリッチシリーズ」として化粧品を展開。ビタミンＣ導入美容液「コラリッチ ホワイトＣエッセンス」やヒアルロン酸原液美容液「コラリッチ モイスチャライザー」などをラインナップしている。また、時短や節約志向で近時のトレンドともなっている「オールインワン」の商品も展開しており、支持を広げているようである。
その他、サプリメントやペット用健康食品などを販売するＡ＆Ｂも、「スクワレン（深海鮫肝油）美容補助液」を販売。アレルギー性のないなめらかな成分として高級化粧品にも１～３％程含まれるスクワラン・オイルであるが、本商品は９９．７％以上も含有。化粧品メーカーに関係なく、自身の持つ美容液や乳液・化粧水・クリーム・パックなどにワンプッシュ加えることで、高級化粧品と化す商品となっている。
読売インフォメーションサービスの調査によると、化粧水と乳液という基礎化粧品２大アイテムの併用は常識となっており、化粧水と乳液をベースに、肌年齢の変化に伴って美容液やクリームなどを追加していく傾向が見られるという。一方で、健康食品メーカーのメイン顧客は、サプリメントなどで得た顧客をメインターゲットとしているため中高年と言えるであろう。２０１２年度の市場は０．２％の増と見られているスキンケア市場であるが、市場が飽和しており、今後大きな伸長が見込めるとは言い難い状況にある。少しでも市場を拡大するためには、いかにより若い世代への訴求を図るかという点がポイントになってくるのではないだろうか。
