ソニーとパナソニックは、テレビ/大型ディスプレイ向け次世代有機ELパネルおよびモジュールの共同開発に合意したと発表。2012年6月25日付で契約を締結した。
ソニーは、2007年に世界初の11型有機ELテレビを発売。さらに、2011年には25型の業務用モニターを発売するなど、蒸着技術を用いた有機ELディスプレイを商品展開・量産、また、蒸着と印刷を組み合わせたハイブリッド有機EL素子のデバイス、プロセス(製造)技術や、有機EL駆動TFTについても開発成果を学会発表するなど、次世代有機EL技術の研究開発も積極的に実施している。
一方のパナソニックは、大型化・低コスト化に優位な印刷技術の中でも、最先端のオール印刷方式による大画面・高精細有機ELパネルの技術開発で先行しており、この方式による生産を実現するための独自の設備技術・生産技術を有する。また、大画面・高画質のシート型ディスプレイを目指し、フレキシブル有機ELディスプレイの研究開発にも取り組んでいる。
今回の合意により、両社が有する基本技術および印刷技術を活用し、主に印刷をベースとした次世代の有機EL技術の共同開発を進めるという。この印刷をベースとした次世代の有機EL技術は、大型かつ高精細の有機ELパネルおよびモジュールを、低コストで量産するのに適した技術であり、それぞれが有する技術を持ち寄ることで開発効率を高め、2013年内の量産技術の確立を目指す。
今後両社は、有機ELパネルおよびモジュールの次世代技術の共同開発と並行して、量産フェーズでの協業の可能性についても検討。それぞれの強みを活かして、高性能かつ競争力のある次世代の有機ELテレビおよび大型ディスプレイの開発・商品化に取り組むという。
国内大手二社が手を結んだという今回の発表は、外国企業と手を組んだシャープとは好対照な事業戦略といえる。どちらがより早く業績を回復し、それを安定させることができるのであろうか。今後の動向から目が離せない市場の一つであろう。