欧州債務危機や新興国の成長鈍化など、あまり明るい話題が聞かれない中、太陽ASGグループが世界44カ国を同時に調査した第15 回「中堅企業経営者景況感意識調査」の結果を公表した。
バランス統計手法Diffusion Indexの略であるDI。そして「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた景況感を示す指数である景気判断DIを用いて発表された本調査結果は、調査対象44カ国の平均DIが4で、前期比4ポイント悪化。前年同期比では4ポイントの改善となった。また、調査対象国のうち、G7、アジア太平洋諸国など日本とのつながりが大きい主要26カ国における今回の同DIは12となり、前期比1ポイント悪化、前年同期比では6ポイント改善している。主要26カ国のうち景況感DIが高い国はチリ82、ブラジル77、フィリピン72、インド71となるなど、BRICsはじめ新興国では景況感は改善。他方、スペイン-67、フランス-49、ギリシャ-42、イタリア-24などとなっており、G7やEU加盟国では景況感が悪化している。そうした中、最も景況感DIが悪かったのは日本で-70となっており、2期連続最下位となっている。
景況感DIが2期連続最下位であったと同時に、注目すべきは、今後一年間の日本の経済の見通しについての調査結果であろう。「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」の合計は6.7% で前期比±0。一方、「たいへん悲観的」「少し悲観的」の合計は77.2%で前期比5.7ポイント増となっている。その理由としては、「内需縮小」(68.8%)や前期比8ポイント増となった「販売価格の下落」(45.0%)、同6.2ポイント増であった「雇用問題」(21.3%)が挙げられている。最も多かった回答は「日本の政治の先行き」の70.0%となっているが、これは調査期間が2012年11月~12月という衆議院の解散・総選挙に揺れた時期であり、特殊事情があったためではないだろうか。特殊事情がなくなった上での同調査結果はどうなるのか。株価が上がり、円安も進んでいるため、注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)