広島県の湯崎英彦知事は6日の広島「原爆の日」平和記念式典でロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮の核開発を背景に国内で高まる「核抑止論」に正面から対峙し「あなたは、万が一、核抑止が破綻した場合、全人類の命、場合によっては地球上の全ての生命に対し、責任を負えるのか。どんなに厳しい安全保障環境にあろうとも、どうしたら核軍縮を進め、最終的に核廃絶を実現できるか、そのための知恵の結集と行動に参画すること」が必要と、核抑止の認識を改め、核廃絶への取組みを強く求めた。
湯崎知事は「あなたは、世界で核戦争が起こったら、こんなことが起こるとは思わなかった、と肩をすくめるだけなのでしょうか。核兵器は、存在する限り人類滅亡の可能性をはらんでいる、というのがまぎれもない現実です。その可能性をゼロにするためには、廃絶の他ないというのも現実」と訴えた。
そのうえで「全ての核保有国が核兵器を手放すことができるよう、従来の安全保障のあり方を見直すとともに、持続可能性の観点から、国際社会の一致した目標として『核兵器廃絶』を目指さなければならない」とし「広島県は政府をはじめ、外国政府や国連、市民社会と連携して、そのための取組みを進めてまいります」と核兵器廃絶への歩みに決意を示した。
湯崎知事は「核抑止論者に問いたい。あなたは、今この瞬間も命を落としている無辜(むこ)のウクライナ市民に対し責任を負えるのですか。ウクライナが核兵器を放棄したから侵略を受けているのではありません。ロシアが核兵器を持っているから侵略を止められないのです」と語った。(編集担当:森高龍二)