KDDI、空気を介さずに音を伝えるレシーバー搭載のスマフォを試作

2011年09月29日 11:00

 KDDIは、耳に接触させることで音を直接内耳に伝達できる「音声振動 素子(仮)」を京セラと共同で開発し、これをレシーバー(受話口)として搭載したスマートフォンを試作したことを27日に発表した。10月4日から千葉・幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2011」のKDDIブースにて「新聴覚スマートフォン」として試作機が参考出展され、2012年度中の商用化を目指す。

 携帯電話のレシーバーから出力される音は通常、空気を伝って聞こえているが、今回開発されたレシーバーは、振動することによって耳内部で音に変換したり、直接鼓膜に音を伝えたり、ディスプレーパネルなどに作用して音を出すことが可能で、様々な方法で音が伝わることによって外部からの影響をあまり受けることなくクリアな音を聞くことができる。さらに、「音声振動素子(仮)」は0.6mm以下と薄く、携帯電話本体の小型化にも寄与し、空気を介して音を伝える際に必要な「音穴」も不要。携帯電話のレシーバー部位の防水性能や防塵性能の向上、またパネル部品のコスト軽減などが期待される。従来の骨伝導スピーカー搭載の携帯電話とは異なり、耳にあてるだけの自然な操作で聞くことができ、あてる位置がずれても聞こえやすさが維持されることが特長だ。

 今回開発が発表された技術を用いることによって、イヤホンやヘッドホンを装着して音楽を視聴している最中に着信した場合でも、イヤホンやヘッドホンを外さずに通話ができたり、騒音の多い工事現場などで耳栓をしたまま通話ができたりするなど、これまでとは全く異なる聞こえ方が実現される。