川崎重工は27日、自社開発の7MW級「M7A-03」ガスタービンに搭載するガス焚きドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼器について、NOx排出保証値を現行標準値である15ppm(O2=15%換算値)から9.9ppm以下への引き下げに成功したことを発表した。同クラスのDLE燃焼器としては、世界で初めて一桁(single-digit)のNOx排出値を保証する。
DLE燃焼器は、燃料を空気と混合させて希薄な状態で燃焼させる希薄予混合燃焼方式を採用し、タービンを高速回転させるための高温ガスを得る装置である。NOxは空気中で燃料を燃焼する過程で生成され、生成量はその燃焼温度に強く依存するが、DLE燃焼器は希薄予混合燃焼方式により、水・蒸気などを噴射せずに燃焼温度を低く制御してNOx排出量を削減できるため、最近ではガスタービンに搭載する燃焼器として主流となっているが、希薄予混合燃焼方式は不安定燃焼を発生しやすく、特に低NOx化を進めるほどその傾向が強まることから、DLE燃焼器の更なる低NOx化には難しい技術開発が求められていた。
今回の開発によって川崎重工は、今後もNOx排出規制強化に対応するため、ガスタービン本体の高効率化と共に革新的な燃焼技術開発によるガスタービンの低エミッション化を進めることを伝えている。