暫定予算がもたらす最大の犠牲は、数年後の日本を支えるはずの「未来への投資」が停滞することです。次世代半導体やAI開発、教育無償化の拡充といった新規の政策経費が、制度の壁によってすべて「足踏み」の状態に陥っています。世界各国が覇権争いを加速させる中、日本だけが「制度上の空白」によって国際競争力を喪失するリスクが急速に浮上しています。
特に深刻なのが先端技術分野で、次世代半導体「ラピダス」への追加支援や、政府が「スタートアップ育成5か年計画」で掲げた約1兆円規模の戦略投資枠の執行が保留となっています。これらはすべて本予算案に盛り込まれた「新規事業」であるため、暫定予算の枠内では1円も支出できません。競合する米・中・台の諸国が月単位で巨額の国費を投じて覇権を争う中、日本側の契約や装置発注がストップすることは、取り返しのつかない時間的損失となります。
暫定予算の原則では「継続事業」の維持費は認められるものの、将来の国益を左右する「新規の大型投資」は認められないという厳しい制約があります。これが実生活に波及すると、先端分野の研究員が雇用を維持できず海外へ流出する事態や、大学無償化の枠拡大を待ち望んでいた現役学生のライフプランが根底から崩れるなど、特に次世代を担う若年層に対して不利益が先行する形となっています。
「今は大変だけど、将来のために塾代だけは削らない」という、家計での優先順位がつけられないもどかしさ。今の日本が陥っているのは、そんな苦しい状況かもしれません。しかし、世界のライバルは私たちが政治の混乱で立ち止まっている間も走り続けています。「未来を後回しにするツケ」が、いつか私たちの子供たちの世代に回ってこないか、強い危機感を感じずにはいられません。18日から始まる国会では、国家の将来を左右する投資の重みを踏まえ、速やかに成長戦略を再起動させるための英断が待ち望まれます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













