今回のニュースのポイント
・非課税枠の拡大:所得税の所得控除等を含む非課税ラインが現行の約160万円から178万円へと引き上げられると、中低所得層を中心に手取り増が実現します。
・家計への実質効果:年収500万円世帯で住民税含め最大6万円程度の減税となる一方、翌年反映となる住民税のタイミングには注意が必要です。
・社会保険の実務変更:2026年4月より、過去実績ではなく雇用契約書に基づいた「契約見込み年収」による扶養判定が開始。一時的な残業が扶養外れに直結しない新運用が始まります。
第2次高市政権と国民民主党は、所得税の非課税ライン(基礎控除と給与所得控除の合計)を現行の約160万円から178万円へと大幅に引き上げることで合意しました。この改革は2026年度(令和8年度)から適用される予定で、物価高に苦しむ現役世代の手取り増を狙ったものです。従来の基準であった103万円は、すでに2025年度の改正によって実質的に約160万円まで緩和されていましたが、今回の合意はそこからさらに枠を広げ、令和のインフレ現実に合わせた修正となります。これは、以前から窮屈だった制服の仕立てを直し、ようやく今の体型に合わせたような調整と言えます。
この改革の影響は、所得層や働き方によって明確な違いがあります。すぐに影響が出るのは、納税者の約8割にあたる中低所得層への減税効果です。年収500万円の単身世帯であれば、所得税で約4.7万円、住民税への波及分を含めると最大で6万円程度の減税が見込まれるという試算もあります。
今回の減税財源は、所得制限の導入などにより年間約6,500億円から7,000億円規模になると見られており、家計にとっては光熱費の上昇分などを補う現実的な支えとなります。ただし、住民税への反映は翌年分からとなるため、実際に手元のお金が増えるタイミングは所得税より最大で1から2ヶ月遅れる点に注意が必要です。また、年収665万円という境界線も重要です。今回の措置は所得制限が設けられており、年収665万円を超える世帯には控除の上乗せが適用されないため、キャリアアップに伴う増税感が新たな課題として浮上する可能性があります。
今後の注目点は3点あります。1点目は2026年4月から施行される社会保険の「契約ベース判定」という新ルールです。これまで130万円の壁などは過去の実績や直近の収入で判断されてきましたが、4月からは雇用契約書に基づいた契約見込み年収(時給×所定労働時間×12ヶ月等)で判定されるようになります。これにより、突発的な残業で一時的に月収が増えても、契約内容そのものが基準内であれば扶養を維持しやすくなるという大きな前進があります。2点目は所得税と住民税の非課税枠の連動状況です。住民税の控除額がどこまで所得税に追随するかによって、最終的な手取り額が確定します。3点目は財源と将来的な負担増のバランスです。今回の減税分に対し、防衛費増税など他の負担増が今後どう進むのか、トータルの家計負担を注視する必要があります。
178万円への引き上げは前向きなニュースですが、家計にとっては税金と社会保険という二つの異なるルールを理解する必要があります。特に4月の社会保険新ルールに向けて、単にいくらまで働けるかを考えるだけでなく、契約見込み年収という新しい物差しを使い、企業側とコミュニケーションを取る姿勢が求められています。













