1月の鉱工業生産は2.2%増 人気車種の供給回復も、中小メーカーを襲う「円安コスト」の重圧

2026年02月27日 12:44

画・TDB景気動向、5月が底か。急激な収縮に歯止め。後退傾向は下げ止まり。

鉱工業生産は3カ月ぶりプラス 「自動車挽回」の裏で続く製造現場の採算悪化

今回のニュースのポイント

・本日午前8時50分発表の1月指数は前月比2.2%増。自動車の減産解消が最大の押し上げ要因。

・人気車種の供給が正常化し「納車待ち」が短縮。一方で経産省の基調判断は慎重な「一進一退」。

・153円台の円安がエネルギー・原材料費を押し上げ。価格転嫁が難しい中小製造業の採算が課題。

 経済産業省が本日2026年2月27日午前8時50分に発表した1月の鉱工業生産指数(速報値、2020年=100、季節調整済み)は、前月から2.2%上昇し104.0となりました。指数の上昇は3カ月ぶりです。この統計は工場などの生産活動を数値化したもので、私たちの手元に届く製品の「供給力」を映し出す鏡といえます。

 今回、数字を大きく押し上げたのは、私たちの生活にも身近な「自動車工業」の回復です。長らく続いていた主要部材の不足が解消に向かい、新型車や人気車種の生産ラインがフル稼働に近い状態に戻りました。一時は1年以上を要していた人気車種の納車待ちが数カ月単位まで短縮されるなど、供給網の正常化が消費現場にも恩恵をもたらし始めています。プラスチック製品や金属製品など、全15業種のうち13業種で生産が上向いており、製造現場には明るい兆しが見えます。

 しかし、統計当局である経済産業省の視線は慎重です。午前8時50分の発表資料では、基調判断を「一進一退」として据え置きました。2.2%という高い伸びを示しながらも楽観視できない背景には、製造現場が抱える「質の異なる二つの重圧」があります。

 一つは、為替市場で1ドル=153円台に達している「円安」による輸入コストの増大です。大手輸出企業が円安を追い風にする一方で、そのサプライチェーンを支える中小メーカーの現場では、電気代や輸入原材料の再値上げが直撃しています。特に、最終製品の価格決定権を持たない下請け企業などでは、増大したコストを納入価格に転嫁できず、生産の「量」が増えても利益が残らない「豊作貧乏」ともいえる状況が続いています。

 もう一つは、現場を支える人手と物流の制約です。生産活動が活発化しても、製品を運ぶドライバーの不足や、高度な加工技術を持つ熟練職人の引退といった「運べない・作れない」リスクが潜在的なブレーキとなっています。実際に経産省の予測調査では、2月は0.5%低下、3月は2.6%低下と、1月の反動による落ち込みが見込まれており、生産の勢いが持続するかは予断を許しません。

 今後は、春闘を経て上昇した賃金が人々の購買意欲を支え、製造現場に「適正な価格での注文」として還元されるかどうかが焦点となります。2026年度の日本経済が安定的な成長軌道に乗るためには、自動車などの特定業種の勢いだけでなく、コスト増に苦しむ多くの中小製造業まで景気の恩恵が染み渡る必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)