浅草に「純木造ホテル」建設。AQ Groupが挑む、高付加価値の木造建築を全域普及の象徴に

2026年04月19日 10:46

今回のニュースのポイント

観光地における「宿泊の質」へのシフト:インバウンドの回復基調が続くなか、単なる宿泊機能を超えた「高付加価値・体験型」の施設が求められており、宿泊施設の差別化競争が強まっています。

東京・浅草に「純木造5階建てホテル」を建設:木造の注文住宅「アキュラホーム」などを展開するAQ Groupは、構造体に鉄やコンクリートを一切使用しない「純木造」によるスモールラグジュアリーホテル(AQ ホテル浅草)の建設を発表しました。

「木造体験」が宿泊市場の新たな競争軸に:耐震・耐火技術の向上により都市部での木造建築が成立する段階に達しています。自然素材の温かみや「日本らしさ」といった、建築そのものが宿泊者の「選択肢」となる構造変化がみられます。

 インバウンドの回復基調が続くなか、国内の主要観光地では宿泊施設の差別化競争が強まっています。宿泊者に選ばれるためには、単なる利便性や価格だけでなく、その施設でしか得られない「高付加価値」や「体験型」の要素が重要となっており、宿泊の質をめぐる戦略が問われています。

 こうした市場環境において、AQ Groupは東京・浅草にて、構造体に鉄やコンクリートを一切使用しない純木造5階建て以上(想定)の商業施設「AQ ホテル浅草」を建設することを発表しました。このプロジェクトは、日本を代表する観光地である浅草に、スモールラグジュアリーな宿泊環境を提供することで、回復する観光需要の取り込みを目指す計画です。設計は大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務め「大屋根リング」も手掛けた藤本壮介氏、構造は木質構造の権威である東京大学名誉教授の稲山正弘氏、耐火は木造建築防耐火研究の第一人者である安井昇氏が監修します。

 この動きを支える要因の一つとして、木造建築技術の進化が挙げられます。耐震性や耐火性の向上、さらには環境価値への評価が高まったことにより、これまでRC造や鉄骨造が主流であった都市部においても、中大規模の木造建築が選択肢として検討される段階に達しています。

 宿泊市場における競争原理にも変化の兆しがみられます。高級ホテルやデザインホテルが立ち並ぶなか、新たに「木造体験」という軸が加わることで、建築物そのものが独自の価値を持つ可能性があります。訪日客や宿泊者にとって、自然素材に囲まれた「日本らしさ」を感じる体験は、目的意識を伴う選択肢となる可能性があります。

 今後、こうした木造建築の潮流は、他の主要都市や商業施設へと広がっていくと考えられます。木造建築が特殊な事例から都市の風景へと定着していく過程は、日本の観光インフラがより体験価値の高いものへと変化していく動きと重なっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)