今回のニュースのポイント
日本銀行が13日に発表した7月の企業物価指数では、国内企業物価が前年同月比7.2%上昇となった一方、輸入物価指数(円ベース)は前年同月比29.1%上昇と高い伸びを示しました。注目されるのは、円換算を行わない「契約通貨ベース」の輸入物価(前年同月比17.7%上昇)との間に大きな乖離が存在する点です。品目ごとの動きや為替相場の動きをみると、企業を取り巻く輸入コストの動向には、海外価格と為替の双方をみる必要があることがわかります。
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日本銀行が発表した2026年7月の企業物価指数(速報)は、国内企業物価が前年同月比7.2%上昇と高い水準を維持する結果となりました。しかし、データの細部に目を向けると、企業が直面しているコスト環境の「実像」は単なる全体数値にとどまらない複雑な広がりをみせています。
■輸入物価「29.1%」の中身、契約通貨ベースは17.7%
今回のデータで最も目を引くのが、海外からの輸入段階における価格動向を示す「輸入物価指数」の動きです。
円換算後の価格を表す「円ベース」の輸入物価指数は、前年同月比で29.1%上昇しました。これに対し、現地通貨など実際の契約通貨で算出した「契約通貨ベース」の輸入物価指数は前年同月比で17.7%の上昇となっています。
両者の伸び率には11.4ポイントの開きがあります。指数ごとの算出方法などから単純な引き算で為替の寄与分を特定することはできませんが、契約通貨ベースに比べ、円換算した輸入物価の上昇率が大きくなっていることが確認できます。
■7月単月でも開く円ベースと契約通貨ベースの差
この傾向は、7月単月(前月比)の動きを切り取っても顕著に表れています。
7月の輸入物価指数は、契約通貨ベースでは前月比0.3%の上昇にとどまったのに対し、円ベースでは同1.3%の上昇となりました。同期間の為替相場をみると、日銀資料に掲載されたドル/円相場は前月比で1.1%の円安方向へ振れており、契約通貨ベースに比べ、為替変動の影響を受ける円ベースの輸入物価の上昇率が大きくなっています。
■「海外市況の全面高」ではない現実
もっとも、海外のモノの値段がすべて一斉に値上がりしているわけではありません。契約通貨ベースにおける品目別の前月比寄与度や変化率をみると、海外市況の落ち着きを示すデータも含まれています。
例えば、契約通貨ベースの前月比では、電気・電子機器がプラス3.8%と上昇した一方で、エネルギー関連である石油・石炭・天然ガスがマイナス0.6%、金属・同製品がマイナス0.5%、化学製品がマイナス0.7%、飲食料品・食料用農水産物がマイナス0.2%と、主要な資源や素材・食料品カテゴリーの多くが前月比で下落しました。
つまり、海外での資源市況や商品市況が全面的に上昇しているわけではない一方、為替変動の影響を受ける円ベースの輸入物価全体は前月比1.3%上昇しており、契約通貨ベースの同0.3%上昇を上回っています。こうした差がみられる点も、現在の輸入物価を読み解くうえで重要です。
■電気・電子機器は円ベースで前月比5.0%上昇
一方で、契約通貨ベースでも価格が上昇し、円ベースではさらに高い伸びを示している分野もあります。それが「電気・電子機器」です。
輸入物価の電気・電子機器は、契約通貨ベースでも前月比3.8%増、前年同月比19.2%増と強い伸びを記録していますが、円ベースでは前月比5.0%増、前年同月比30.8%増に達しています。日銀の発表資料によると、主な上昇品目として「MOS型メモリ集積回路」や「ワイヤーハーネス」「搬送装置」などが挙げられています。半導体関連や電子部品などを含む一部品目で価格上昇がみられ、為替変動の影響を受ける円ベースでは、契約通貨ベースを上回る伸びとなっています。
■国内企業物価でも際立つ品目ごとの濃淡
国内企業物価をみても、品目によって上昇率には大きな差があります。
7月の国内企業物価全体は前年同月比7.2%上昇ですが、主要類別を個別に見ると以下の通りです。
・非鉄金属:前年同月比 +40.6%
・スクラップ類:前年同月比 +29.1%
・石油・石炭製品:前年同月比 +17.5%
・情報通信機器:前年同月比 +17.3%
・化学製品:前年同月比 +12.9%
非鉄金属や情報通信関連などの部材が高水準な伸びを記録する一方、全般的な価格上昇は均等ではなく、品目によって価格上昇の度合いに大きな差があることが確認できます。
■円安傾向が続くなかでの注視点
7月の企業物価指数からは、国内企業物価の上昇率が7%台で推移する一方、輸入物価では円ベースと契約通貨ベースの上昇率に大きな差がみられました。海外の商品価格だけでなく、為替動向が企業の円換算での調達コストを左右する局面が続いています。
足元の外国為替市場では1ドル=159円台での推移が続いており、今後の為替動向と輸入コスト、それが国内価格や企業の販売価格へどのように波及していくのかをあわせてみていく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













