お花見や全国で予定されていた各種イベントの中止など、震災以降国内では自粛ムードが漂っている。東京の浅草神社では、毎年5月に行われる「例大祭式典」については、被災地早期復興祈願の趣旨を含め、斎行するが、本社神輿渡御・町内神輿渡御を含む浅草神社例大祭(三社祭)各祭礼行事の中止を決定した。福島原発事故や電力不足の影響のほか、社会情勢を鑑み、決断したという。また、花見のライトアップ中止も全国で広がっている。こちらも電力不足を考慮し下された結果である。
その一方で、神戸では既に予定されていたイベントの実施に加え、募金の呼びかけを行うイベントが多く予定されている。神戸市立王子動物園では、7日から9日まで夜桜通り抜けを開催する。同イベントは、阪神淡路大震災の被災者を励ますことを目的に98年より開始したこともあり、今年も実施を決定した。ただし、危険防止とエネルギー資源節約のため、例年よりもコースを約50メートル短縮する予定だという。また、東日本大震災への募金の呼びかけも行う。
もちろん、過剰な電力の使用や、危険を考慮しての自粛は必要といえるであろう。しかし、自粛という言葉が先行してしまい、本来であれば開催できるイベントを中止したり、被災者以外が自ら行動を制限してしまうことが果たしていい結果を生むのであろうか? 神戸商工会議所では、被災地への直接的な支援活動のほか、日本経済をけん引していくつもりで、3月14日に発表した自粛方針を見直し今後、経済活力の増進に向け、会員企業や関係経済団体等に対し、通常通りの活動を呼び掛けると発表。このような活動こそが、長く続くであろう復興の足掛かりになるのかもしれない。