ビール業界大手4社の連結決算が2月10日までに出揃い、サントリーホールディングスとアサヒビールの2社が増収、全利益での増益を見込む。一方、キリンホールディングスは全利益で増益だが減収、サッポロホールディングスは増収だが当期利益の減少を見込む。
サントリーホールディングスは、ノンアルコールビール「オールフリー」や、ハイボール「トリスハイボール缶」といったウイスキーの販売が好調で、主力の高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」とともに販売数量が増。09年11月に買収したフランスの清涼飲料メーカー「オランジーナ」が海外事業の拡大に貢献した。アサヒビールは、各事業で主力商品に経営資源を集中するとともにコスト競争力の強化に努めたほか、中国ビール事業の売上増によって、海外事業で初の黒字転換を予想している。
キリンホールディングスは、ノンアルコールビール「キリンフリー」の販売数量が大幅増となったが、引き続き厳しい市場環境を予測した結果、売上高は微減を見込む。しかし、シンガポールの飲料メーカー「フレイザー・アンド・ニーヴ」の持ち分法投資利益の寄与や、10年に発生した特別損失の反動などによって当期利益は大幅に増加する見込みとなっている。サッポロホールディングスは、国内酒類事業の売り上げ拡大などで増収だが、10年に固定資産売却を計上したことによる反動で当期利益は大幅な減少を見込む。
そういった状況から、現在、ノンアルコールビールやハイボールなど、ブームによって市場が拡大するジャンルによって売り上げが牽引されていることが分かり、今後も様々な商品の展開が行われることが予測される。さらに、ビール類の市場が縮小傾向にある国内の状況もあり、海外展開の有無やその動向も今後の大きなポイントとなっていきそうだ。