22年版厚生労働白書 省改革元年と位置づける

2010年08月30日 11:00

 厚生労働省は平成22年版「厚生労働白書」を発表した。全体を2部構成にし、1部は「厚生労働省改革元年」(役所文化を変える)としている。さらに1部を2章に分け、1章で旧社会保険庁などを巡る問題、薬害肝炎事件など過去の事案について反省点を明記、2章では日本年金機構の設立と年金記録問題などへの対応、内部改革への取り組みを紹介している。

 内部改革の一環として、省内に「省内事業仕分け室」を設置し、恒常的に無駄を見直すこととした、としているほか、国民の声を施策に反映させるため、アフターサービス推進室(仮称)やわかりやすい文書支援室(仮称)を設置。厚生労働省としての目標を設定し、これを公表することにより、省としての成果が国民に分かりやすいように努める姿勢を示している。

 白書の2部では1章で新型インフルエンザを中心とした国家の危機管理への対応について報告するとともに、2章では参加型社会保障確立に向けての取り組みを紹介している。

 また、「日本の1日」や「100人でみた日本」など瞬時に日本の現況をおおづかみで分かるよう工夫した。日本の1日では平成17年から平成21年の間での直近の数字から、1日に生まれるのは「2932人」、亡くなるのは「3129人」、人口減少数は197人と人口減少の実態を紹介。

 亡くなる人の内訳では、がん942人、心臓病495人、脳血管疾病335人、事故103人、仕事中の事故3人、老衰106人、自殺90人としている。また、国民全体の医療費は1日あたり932億7000万円。購入している薬の金額は30億3000万円にのぼっていた。

 厚生労働省では、今回の白書の特徴として「今年の白書では厚生労働省改革元年と位置づけ、年金記録問題や薬害肝炎問題の反省を踏まえた役所文化を変える取り組みを記述した。その上で、今後日本が進むべき方向として新たに参加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)の考え方を提起、現時点の検討状況を記載したこと」をあげている。(編集担当:福角忠夫)