食育にも一役買う”デコカレー”が静かなブーム

2010年07月20日 11:00

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デコカレーのリーフレットが封入された「2段熟カレー」とデコレーションの一例。親子で料理する機会を提供することで、食育を推進し、コミュニケーションの増加を促す。

 暑い夏には素麺やざるそば、冷やし中華といった冷たくてあっさりした料理を食べたくなるもの。でも、見た目も味も濃いめで、食べると余計に暑くなるカレーがなぜだか食べたくなる、という人も多いのではないだろうか。

 一年を通して口にする機会が多く、もはや”国民食”と言っても過言ではない存在となったカレーの最大の需要期は夏。実際、国内カレールウ市場の一年間の販売金額の平均に対し、7・8月の2ヶ月はそれぞれ約10%増、という調査結果も出ている(インテージSRIデータより)。

 なぜ夏にカレーの需要が高まるのか。それは、カレーが日常的に食べられる”健康食”であることに他ならない。特筆すべきは使用される香辛料の豊富さ。様々な種類の香辛料をブレンドして作られる中で、例えばコリアンダーには整腸作用が、クミンやカルダモンには消化作用がある。そしてトウガラシには発汗作用があり、カレーの黄色を出しているターメリックの和名は今やおなじみの「ウコン」。それらのスパイスが夏バテで弱った体胃腸の働きを助け、汗をかくことで体を冷ます効果を発揮。そして、独特のスパイシーな風味が食欲を刺激する。夏にカレーが食べたくなるのにはしっかりとした理由があるのだ。

 もちろん、最大の需要期である夏は、カレーメーカー各社がこぞって様々なキャンペーンを展開するシーズンでもある。そんな中、親子が一緒に、楽しみながら料理をする機会を提供することで子どもの食育を促進し、親子のコミュニケーションの時間を作るきっかけを与える、というコンセプトを元に企画されたキャンペーンが7月19日にスタートした。内容は、日本最大の料理サイト「クックパッド」にて、家庭で作ったオリジナルの”デコカレー”の画像とレシピを募集し、入賞作品を選定するというもので、タイトルは「グリコ デコカレーコンテスト」。主催しているのは江崎グリコ <2206> だ。ちなみにデコカレーとは、ご飯を好みの形に盛りつけ、その周りをルウや具材でかわいらしくデコレーションしたカレーのこと。

 同社は、1995年に発売したカレールウ「熟カレー」と現在の主力である「2段熟カレー」で、それまで「大人向けの辛口」と「子ども向けの甘口」に大別されていたカレールウ市場に「”コク”を切り口にした、家族みんなで楽しめるカレー」という新風を吹き込んだメーカー。この度開催された”大人と子どもが一緒にカレーを作る”キャンペーンとも「家族」というキーワードで繋がっているように感じられる。子どもたちが長い休みに入り、親たちも休暇を取りやすい夏休みシーズンとカレーの需要期が重なっている、ということも今回のキャンペーンのポイントだ。

 夏休みというと、海や山や各地の観光スポットへと出かけることだけに気を取られてしまいがちだが、親子で楽しく料理をすることで得られるちょっとした喜びも、きっと忘れられない思い出になるはずだ。
(編集担当:上地智)