菅直人首相は「沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊は(日本や東アジアの安全にとって)抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している」との考えを示した。
照屋寛徳衆議院議員(沖縄2区選出、社民党)から在沖縄アメリカ海兵隊の「抑止力」に関する考えを質されて答えたもので、抑止力に対する概念については「侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている」との見解を示した上で、「国際社会には核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、核兵器をはじめとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する」と国際情勢についての認識を示した。
そうした中で「我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を引き続き堅持し、その抑止力の下で我が国の安全を確保することが必要であると考えている」と回答。
「幅広い任務に対応可能で機動性と即応性に優れた海兵隊は、その重要な要素の一つであると考えている」とした。
また、照屋議員が沖縄駐留のアメリカ海兵隊が佐世保の揚陸艦部隊と共に行動することから、必ずしも沖縄に駐留する必要はないと考えられると提起したのに対し、「そのことのみをもって、在沖米海兵隊が沖縄に駐留する必要はないとすることは適当ではない」と答えた。
菅首相は「沖縄は米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能なアメリカ合衆国の海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊は抑止力の重要な要素の一つとして機能している」と地理的要素の重要性を改めて浮き彫りにしている。こうした判断の中で沖縄の負担軽減をどう図ろうとするのか、課題の難しさをうかがわせている。
(編集担当:福角忠夫)