株式会社村田製作所 <6981> は、超薄型(厚み0.9mm)、防水対応の圧電スピーカーを世界で初めて商品化し、2010年5月より生産を開始した。
夏の商戦に向け、携帯電話をはじめとするモバイル機器市場では防水モデルのラインナップが出揃い、人気を集めている。屋外での使用頻度が高いモバイル機器に防水が求められるのは必然だが、その割には、これまで防水対応のモデルがあまり多いと言えなかった。その理由は、技術的に難しいというだけでなく、防水対応すべき箇所が多岐に渡ることや、コスト的な問題も大きな課題となっているからである。
特にスピーカーの放音孔への対処は重要な課題であり、従来品ではセットメーカー側で防水シートを被せて防水対応を施している。しかし、これではどうしても音質が劣化してしまう上に、防水シートの費用と、その実装コストがかかってしまう。
今回、村田製作所が商品化した防水対応スピーカー「VSLBG1914E1400シリーズ」は、同社がこれまでに蓄積してきた圧電の知見をもとに開発されたもので、防水シート無しでも、現在発売されている防水携帯と同じレベル(IPX7等級)の防水性能を実現している。これにより、実装コストが軽減されることはもとより、シートによる音質劣化が無いので、良好な音質が維持できる。また、厚み0.9mmという超薄型形状なのでどこにでも配置しやすく、セットメーカーもデザインしやすいのが大きな特長だ。
主な用途としては、携帯電話をはじめ、携帯型音楽プレーヤー、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ICレコーダ、e-bookなど多岐に渡る。今回、ムラタが世界で初めて防水対応の超薄型圧電スピーカーを商品化したことで、それらのモバイル機器市場、とりわけ、携帯電話や携帯型音楽プレーヤーの市場では大きな反響があることは間違いなさそうだ。
(編集担当:藤原伊織)