緊急雇用対策で政府に要望 社民党

2009年10月22日 11:00

 消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画担当大臣で社会民主党の福島みずほ党首は、21日開かれた基本政策閣僚委員会の席で、菅直人・緊急雇用対策本部本部長代行(副総理)に社会民主党としてとりまとめた緊急雇用対策の実現を要望した。

 社会民主党は「年末に向け、経済が再び悪化し、二番底をつける懸念がぬぐえない。完全失業率(8月の季節調整値で5.5%)や求人倍率(同0.42倍)が過去最悪」など、緊迫した状況にあるとの認識を示すとともに、早急に雇用対策を講じるよう要望した。緊急雇用対策本部は23日にも本部としての対策を取りまとめたい意向だ。

 社民党は要望の中で「職のあっせん・職業教育訓練、住宅のあっせん、支援金の給付・貸与、生活保護、保育の手続きが一つの窓口で受けられるよう」ハローワークにワンストップサービス窓口を設置し「弁護士相談、健康相談、心の悩み相談についても窓口で対応ができるよう」求めている。

 また、都道府県の庁所在地や政令市のハローワークについては年末までに設置するよう求めており、年末年始に窓口を開け、利用者のニーズにこたえることの必要を訴えている。

 また、こうした業務に対応できるよう、ハローワークや福祉事務所などへの職員数の増員を求めた。

 今回、社民党は緊急雇用対策について、年末にむけての対応と2010年通常国会に向けての課題、雇用創出のための対応など3分野に分けてまとめた。

 年末に向けては、ハローワークでのワンストップサービス窓口の設置のほか、(1)派遣切りなどにより失業した人に支援金を支給するための「失業者支援基金」(仮称)の創設。基金の原資は派遣切りなどを行った大企業、派遣会社、自治体、国の拠出で賄う(2)雇用調整助成金の拡充を図る(3)配偶者の失業等により働くことを余儀なくされた子育て家庭を支援するため、保育所(一時保育も含む)、学童保育所等の整備を早急に図る(4)医療・介護など実需のある分野に労働力を振り向ける。介護労働者賃金引き上げ法を2010年の通常国会で成立させることを宣言する(5)求職への支援強化を図る(公共職業訓練校の絶対的不足を企業の訓練施設や専門学校の協力を得て補い、訓練校の偏在、メニューの乏しさを改善。制度の枠を拡大し、希望者全員の受講を可能にする)(6)住宅を確保する(雇用促進住宅・公務員宿舎・UR住宅・公営住宅・社宅・民間アパートなどを国の責任で借り上げる。各自治体に住宅確保の戸数を割り当て、国のイニシアティブで緊急に住宅を提供する)(7)ホームレスなどに食事等の提供を行ったり、自殺予防に取り組むNPO団体等に対し、場所の提供や財政補助を含めた支援を行う、などの対策を求めている。

 来年の通常国会への対応では、労働者派遣法の抜本改正を行い、「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止に加え、「製造業派遣」「登録型派遣」を原則禁止。違法派遣に対する「直接雇用見なし制度」の創設や均等待遇原則の確立などによって、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」に改めることを求めた。

 このほか、最低賃金については「生活保護との整合性に着目し、最低賃金の大幅引き上げと全国一律最賃制の導入。最低賃金の引き上げによる影響が大きい中小・零細企業について、貸し渋り・貸しはがし法・中小企業いじめ防止法の制定、法人税の引き下げなどによって支援を行う」よう要請。

 雇用の創出では「いのち(介護、医療、福祉、教育)と、みどり(農林水産業、環境や自然エネルギー)分野へ重点的に投資し、働きがいのある人間らしい仕事をつくる」よう要請した。

 また、来春、高校や大学を卒業見込みで、就職を希望している学生らを支援するため「高卒・大卒向けジョブサポーターを、各学校、ハローワークに緊急的に配置し、就活支援を積極的に行う」とともに、「新規就労できなかった人を対象にした未就職者特別人材育成プログラム(仮称)を創設し、企業、労働組合、各種学校に協力を求め、企業の現場、企業の訓練施設、大学、専門学校、高等専門学校などで実地訓練を受け、資格を習得し、1年間のデュアルシステム(学びながら働く)の採用で、再来年の新卒者と同じ扱いの就労を可能にする」ことなどを提言。プログラムの実効をあげるため、国が協力機関に訓練委託費を助成する、などをあげている。
(編集担当:福角忠夫)