風景や顔写真をビルに印刷する新技術開発

2009年10月01日 11:00

 コンクリートの下地処理を行うアクアは、コンクリート外壁に写真や図柄を転写する「フォトクリート」という技術を開発した。

 「フォトクリート」とは、写真やパターン化した図柄の連続模様を自在に彫り上げることができる技術。モノトーンでのカラー化もでき、マンションのエントランスの内壁などにも適用できることから、デザインの視点からも注目を浴びることが期待される。また、耐水性があり、対アルカリ可溶性の接着力の強い凝結遅延剤を採用しているため、特別な加工をすることなく、フィルムやシート上にインキとして印刷が可能となった。オーダーメイドの写真や図柄を最大3m×7mのサイズにまで1枚板で製作でき、分割することにより、壁全体の写真もできるほか、外壁全体に繰り返し図柄のデザインが施せるようになった。巨大な風景や顔写真なども印刷することができるようになったのだ。

 従来は、ビルの外壁にタイルやガラス、パネル、吹き付け塗装などがほとんどだった。しかし、近年外壁仕上げ材と同レベル以上の効果が期待される新素材を求める声が目立っていた。そこで、サンドブラスト技法やステンシル技法など様々な技術が開発されたが、綿密な転写性能や作業性が困難であった。今回は、これらの問題を解決する新たな技術といえる。

 アクアでは、同技術に「設計の自由度が増す、オーダーメイドの外壁意匠」というキャッチフレーズをつけた。今後は、特許を申請し、大手PCコンクリートメーカーおよび印刷会社の協力を得て開発した「フォトクリート」の技術を、外壁デザインの新分野として育てるため、建築設計事務所、ゼネコンなどに協力を呼びかけていく考えだ。
(編集担当:山下紗季)