先代の南極観測船「しらせ」後利用に応募4案

2009年09月16日 11:00

 南極観測船として25年にわたって活用されてきた先代「しらせ」の新たな利用について、文部科学省が公募した結果、4案の応募があり、提出された利用案について、9月15日、その審査方法などを軸に検討委員会が同省会議室で開かれた。委員会ではヒアリングなどを経て、10月下旬までに審議結果をまとめ、「できるだけ11月9日の南極地域観測統合推進本部総会で結果を公表できるようにしたい」としている。

 応募しているのは沖縄県先代「しらせ」誘致研究協議会(沖縄県)をはじめ、大柿産業を代表とするグループ(広島県)、株式会社ウェザーニューズ(東京都)、特定非営利活動法人日本環境技術協会(大阪府)。

 沖縄県先代「しらせ」誘致研究協議会では「先代しらせを展示用に改造し、沖縄県の岸壁または海上係留施設に係留し、地球及び日本の地殻変動などの各種資料や南極関連の品物を展示するほかボランティアによる解説や説明を行う」としている。また「近辺のサンゴの保存・育成資料館と連携させ、近くになければ先代しらせ内部にそれらを制作する」としており「運営は基本的に入場料と寄付金で賄う。先代しらせは多数の乗員宿泊設備を有しているので、修学旅行生の宿泊施設としての利用も検討する」との利用案を示している。また協議会では「青少年の科学に対する関心を高め教育基盤充実に寄与するとともに、沖縄県にとっても観光インフラの創出につなげたい」としている。

 ウェザーニューズでは「しらせはSHIRASEとして、 環境問題に向き合う日本のシンボルの一つとして、全世界の仲間が集まり、環境問題とその解決策を共創する場として創生するとともに、陸地に固定設置されていないという特性を生かし、大規模災害(陸の広域大震災、台風等大雨災害等)発生時における緊急ヘリポート・被災者の収容施設・支援物資輸送用艀として、被災者の緊急支援活動のインフラとして活用できる」と利用方法を説明するなど、4者ともに、環境問題に重点を置きながら有効活用への提案を行っている。(編集担当:福角忠夫)