山田養蜂場は、岡山大学大学院の川崎博已(かわさきひろむ)教授と共同研究を行い、ローヤルゼリーが糖尿病予備群の初期症状を予防することを、ラットを用いた試験で明らかにした。
糖尿病予備群の人は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなっている)という異常な状態になっており、食後の血糖値が上昇してインスリンが分泌されても、適正な血糖値に速やかに戻らない。初期段階で生活習慣を変えるなどの対処をせず、長期間放置すると、次第に膵臓が疲れてインスリンを分泌できなくなり、空腹時でも血糖値が高い状態が続いて糖尿病へと進行してしまう。また、インスリン抵抗性は、進行すると肥満を伴うことから、メタボリックシンドロームの初期段階としても注意が必要とされている。
平成19年の国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)によると、糖尿病の患者はその予備群を合わせると2,210万人にも達しており、その約90%以上が、長年の生活習慣の乱れが原因とされている。慢性的な高血糖状態を放置すると、血管の機能がダメージを受け、深刻な合併症を引き起こす可能性もある。糖尿病は完治させる治療法がまだ確立されておらず、患者の生活の質の改善や莫大な治療費削減のため、予防や早期発見・早期治療が急務となっている。
そこで山田養蜂場では、ローヤルゼリーが糖尿病予備群の初期症状を予防するかどうかを確認する目的で、岡山大学大学院の川崎教授と共同研究を行った。すでに、遺伝的に糖尿病を発症するラットを用いた試験では、ローヤルゼリーが初期症状のインスリン抵抗性の予防効果を示すことを見出し、論文報告も行っていたが、今回は正常な人が乱れた食生活を送った場合、ローヤルゼリーが同様の予防効果を示すかを検討するため、糖尿病の遺伝的素因を持たない正常ラットを用いて試験を行った。
正常な6週齢から14週齢まで15%フルクトース(果糖)飲料水を飲ませたラットでは、インスリン抵抗性指数が上昇し、インスリン抵抗性の状態となった。一方、正常な6週齢から継続的に同飲料水とローヤルゼリーを飲ませたラットでは、14週齢で正常と同程度のインスリン抵抗性指数を示した。また、血清中性脂肪量が低下し、血管収縮の反応性にも改善が見られた。これらの結果から、ローヤルゼリーは糖尿病の初期症状を予防する効果があることが明らかとなった。
同社は、今回の結果から、ローヤルゼリーは糖尿病の遺伝的な素因の有無とは関係なく、正常なときから摂取することにより、糖尿病予備群の初期症状を予防するものと結論づけている。尚、この研究成果は、2006年に日本薬学会で学会発表し、このたび、同学会の学術誌”Biological Pharmaceutical Bulletin”に掲載され、科学的に認められた。