中央省庁の幹部候補となる国家公務員Ⅰ種試験の、2009年度の申し込み状況が人事院より発表された。申込者数は前年度比4.6%増の2万2185人と5年ぶりに増加している。
この国家公務員試験申込み増加の背景には、民間企業の経営不振が挙げられる。不況による採用なし、採用取り消しなどが相次ぐことによる不信感、将来的な展望への不安感などから、若者が安定した公務員への道を選ぶ傾向が一層強くなっているというのが現状だ。
また、女性の申込者数は6.8%増の6903人。2年連続、全体を占める割合が3割を超え、昨年度よりさらに増加している。これは女性の民間雇用が男性よりさらに減少し、キャリア志向の女性が、能力を発揮する場面が少なくなっている傾向を示唆していると考えられる。
多くの優秀な人材が民間企業への入社を敬遠しているようだが、一部にだけに能力が片寄ってしまう傾向は、厳しい局面に立つ日本経済にとっては決してプラスではない。民間企業全体は、採用形態を考査し、まずは最低限の信頼を取り戻すことを考える必要があるだろう。会社経営に新しい息吹を吹き込む若い力が、日本経済が再び強さと信頼を取り戻すための鍵を握ると考える。