抗菌・抗ウイルス 多機能バイオフィルター開発

2008年08月19日 11:00

 富士フイルムは、独自技術により開発した有機銀粒子を塗布した高い抗菌効果を持つ「抗菌フィルター」と、インフルエンザウイルス抗体を塗布した「抗ウイルスフィルター」を組み合わせることにより、フィルターに捕捉された浮遊菌とウイルス(感染症やアレルギーに関係する11種類の主要な菌・ウイルス)をともに不活性化できる抗菌・抗ウイルス 多機能バイオフィルターを開発した。医療機関や介護施設における院内感染の予防ニーズに大きな期待がもたれる。同社ではこのフィルターを搭載した機器システムの製品化を平成20年度中に予定している。

 「抗菌フィルター」には独自の精密有機合成技術とナノ粒子生成技術の融合により開発した高活性有機銀粒子を採用し、抗菌効果の高い銀イオンを効率よく放出することを可能とした。これにより、人体に対して安全性が高く抗菌素材として広範に用いられている銀の抗菌性能を飛躍的に高めることに成功したとしている。

 また、「抗ウイルスフィルター」には、インフルエンザウイルスを不活性化できる抗体を採用。この抗体は流行が懸念されている「H5N1型鳥インフルエンザウイルス」や、毎年流行を繰り返す「ヒトA型/B型インフルエンザウイルス」を効率よく抑制できることが分かっている。抗体を低コストで量産する技術は京都府立大学の塚本康浩教授が開発、同社が世界で初めてフィルターに応用した。

 同社では「一般的な空気清浄機などに使用されている高密度フィルターは、菌やウイルスを含む飛沫をいったんは捕捉できても、ウイルスが不活性化されないまま飛沫が乾燥し、感染力のある小さな飛沫核として再び空気中に放出される懸念があるとされていた。今回開発した抗菌・抗ウイルス 多機能バイオフィルターの特長を生かし、空気清浄システム、エアコンや業務用空調システムなどへの応用を目指し、医療機関や介護施設における院内感染の予防ニーズに応えていきたい」と話している。