4市町村のうち1市町村が1万人未満の自治体

2008年06月20日 11:00

 総務省「市町村合併研究会」は平成の市町村合併の評価・検証・分析の結果を6月19日までにまとめた。

 それによると、市町村の数は平成11年3月の3232から現在、1784にまで減少し「相当程度進展した」と評価している。ただし、合併の進捗率では都道府県間に大きな差がでていることや人口1万人未満の小規模市町村が現在も482存在している、など課題も指摘。市町村の27%が1万人未満という結果になっている。また、合併していない市町村(昨年8月6日現在での1252団体)を対象とした未合併要因については「地理的要因が阻害要因になっているのは一部の地域にとどり、意見集約が不調で未合併になっているケースや合併を希望したが組み合わせの相手との関係が要因で合併できずにいる」などが分かった。研究会では「住民を交えて真剣に議論し、合併も含めて地域の将来のあり方などで結論を得る必要がある」と報告している。

 この研究会は学識経験者と合併市町村や都道府県の合併担当職員らで構成され、自治体や報道機関が実施した住民へのアンケート調査の結果や市町村へのアンケート調査、統計データをベースに分析したもので、合併後数年の短期的な影響と、行政側、住民側からみた場合の影響を検証している。

 その結果、行財政への影響では企画政策課や危機管理室など経営中枢部門の強化や組織の専門化、税の徴収部門・監査委員事務局の独立など適正な事務の執行、助産師や図書館司書など旧の市町村では配置できなかった専門職の配置が可能になった。適切な行政運営のための条件整備(コンプライアンスの確保、行政評価の導入など)が図れた。職員配置や出先機関の見直しなどにより、職員総数・人件費削減ができた。図書館のネットワーク化や近隣の小学校への入学が可能になるなど、旧市町村の境界を越えた公共施設の広域的利用が図れるようになった、などのメリットが生じている、としている。

 住民生活への影響では約8割の団体で、専門的なサービスの実施や少子・高齢化対策など福祉分野で住民サービスを拡充。愛媛県新居浜市では無医村地区に診療所を開設した。一方で、敬老・結婚祝い金など個人への支給金などの削減、廃止がすすめられ「これが、合併の影響と住民に受け止められ、合併への消極的な評価につながるケースもでている」と報告している。

 合併により、広域的な地域活性化に向けた取り組みも生まれている。栃木県日光市では有名な観光地がひとつになったことから広域的観光ルートを設定した。

 一方、課題としては「旧役場が支所などになったことから、周辺部では住民の自主的活動の有無により活力に差が生じてくる懸念があるほか、市町村の組織風土の違いにより一つの組織になるのに時間が掛かる。合併による財政効果が実感できないでいるところもある、などをあげている。こうしたところでは中期的に財政運営を改善していくことが必要としている。