スマホ向け世界最小トランジスタ 量産開始

2012年09月10日 11:00

k120908_025_2

ロームが小型素子の開発・高精度パッケージ加工技術の導入などにより0.8mm×0.6mm、高さ0.36mmと世界最小サイズのトランジスタパッケージ「VML0806」を開発。画像は同製品とシャープペンシルの芯(0.5mm)を比較している。

 スマートフォンをはじめとする携帯機器で進むセットの小型化や高機能化。それに伴い、搭載する電子部品に対してもより一層の小型化、薄型化が求められている。しかし、従来のトランジスタパッケージでは、搭載素子の小型化やボンディングの安定性、パッケージの加工精度などのほか、実装面での技術的な課題などもあり1006サイズ(1.0mm×0.6mm、高さ0.37mm)が限界とされていた。

 こうした中、ローム が、トランジスタパッケージ「VML0806」を開発したと発表。新製品は、小型素子の開発・高精度パッケージ加工技術の導入などによって、0.8mm×0.6mm、高さ0.36mmと世界最小サイズを実現しているという。さらに、実装性が最も高まるように外形寸法および外部端子寸法を最適化することで量産化も実現。7月から月産6000個の量産をしており、今後、需要の拡大に合わせて生産体制をさらに増強していく予定だという。

 新パッケージは、まず小信号MOSFETへ展開。基本性能を維持したまま、従来の小信号トランジスタの最小サイズ1212パッケージ(1.2mm×1.2mm、高さ0.50mm)に比べ、実装面積を67%低減し、28%の低背化を実現している。今後、バイポーラトランジスタやデジタルトランジスタなど幅広い回路用途に展開する予定だという。またMOSFETにおいては、世界最小サイズでありながら、26Ωという低オン抵抗を実現している。

 村田製作所も、従来の0402サイズ(0.4×0.2mm)より体積比約75%ダウンを実現した、世界最小0201サイズ(0.25×0.125mm)の積層セラミックコンデンサを開発したと発表するなど、スマートフォンを始めとするモバイル機器に向けた電子部品の小型化・低消費電力化競争が再燃している。今後も、限界とされていたサイズをさらに下回る開発が今後も実現し、モバイル機器の小型化・調駆動時間化が進むことを期待したい。