MotoGP12戦、歴史に残る最終ラップの攻防

2012年08月27日 21:44

074MotoGP12戦.gazou

最終ラップで激しいドッグファイトを繰り広げるホンダのダニ・ペドロサ(左)とヤマハのホルヘ・ロレンソ(右)

 いよいよ今シーズンも後半戦に入り、チャンピオン争いからも目が離せなくなってきた第12戦は大観衆が訪れるチェコで開催された。

 前週のグランプリ予選で骨折を負いながらも決勝を走り抜いたケーシー・ストーナー(ホンダ)が手術のため帰国。3強のうちの一角を失うレースとなったが、予選ではホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)がポールレコードを更新する圧巻の走りでトップ。セカンドローまでの6台のうち、実に4台のヤマハ勢がグリッドを占める結果となった。

 いよいよスタート。全長5403メートルと今年行われるサーキットでは3番目の長さとなるブルノ・サーキットは屈指のテクニカルコース。ホールショットを奪ったのは抜群のスタートダッシュ見せたロレンソ。今回ばかりはダニ・ペドロサ(ホンダ)も3番手スタートから2位に上がるのが精一杯だった。2番手スタートだったカル・クッラチロー(モンスター・ヤマハ・テック3)はひとつ順位を落としたものの、好調さをキープした走りで3位でのファーストラップとなった。

 レース序盤から1位のロレンソと2位のペドロサは別次元の走りを見せる。お互いにレース中のコース・レコードを更新しながら、激しいトップ争いを演じる。徐々に3位以下を引き離し、この時点で優勝の行方は2人に絞られる。

 中盤の8周目、ルーキーながら常にトップグループに迫る走りを見せるステファン・ブラドル(LCRホンダ)がバレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)を捉え、5位に浮上し、その勢いある走りに観衆のボルテージが上がったのも束の間、今度は声を落とすことに。不運の続くベン・スピース(ヤマハ)が転倒リタイア。今レースも4番手スタートだっただけに、悔やまれる結果となった。

 レースの半分が過ぎる頃、トップ争いにも動きが出る。スタートからピッタリとロレンソについていたペドロサが1位の座を奪う。トップを奪われはしたものの、今度は逆の立場でペドロサの背後でプレッシャーをかけ続けるロレンソ。再度逆転のチャンスを虎視眈々と狙っていた。そして最後の1周はこのレースの全てが凝縮されていたと思える程、ドラマチックな展開が用意されていた。

 7コーナーで勝負に出るロレンソ。接触スレスレのバトルを制し、再びトップを奪い返す。このままレースは終わるかに思えたが、ペドロサは最終コーナーのアウトから再び抜き返し、そのままゴール。この最終ラップのバトルは名勝負として語り継がれるに違いない。何よりこの2人が凄かったのは、昨年のレースタイムより25秒も速かったリザルトを見れば一目瞭然だ。3位にはモトGPクラス初の表彰台となるクラッチローが入った。

 ポイントランキング争いも2連勝と勢いに乗るペドロサが首位ロレンソに13点差と迫り、シーズン終盤に向けてますます面白くなりそうだ。

 次戦サンマリノGPは9月16日にミサノ・ワールド・サーキット-マルコ・シモンセリで決勝が行われる。(編集担当:加藤隆文)