ウェットレースの第16戦マレーシアGP。悪天候のセパン・インターナショナル・サーキットは激しい雨のために転倒者が続出する、波乱のレースとなった。
ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が年間チャンピオン獲得を賭けて臨んだ第16戦は、あいにくの天候となり、各チームはレース前から困難な対応を強いられていた。ホーム、バックと2本のストレートが特徴的なこのサーキットは前日、ロレンソが新しいコースレコードを叩き出し、決勝での走りに期待が高まっていただけに、何とか回復を願っていたが、それは叶わないままスタートを迎えた。
スタート前に「ウェットレース」宣言され、波乱が予想されたが、ポール・ポジションのロレンソ、2番手のダニ・ペドロサ(ホンダ)は綺麗にスタートを決め、ロレンソがホールショットを奪う。予選3番手のアンドレア・ドビツィオーゾ(モンスターヤマハテック3)はスタートに失敗して順位を落とし、雨のフランスGPでも強さを見せたバレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)が11番手から5位まで一気に浮上した。
レース序盤はここ数戦見慣れた展開で進んで行く。2分15秒台で周回するのはトップ2のみで、徐々に3位のケーシー・ストーナー(ホンダ)以下を引き離していく。
レースが動いたのは9周目。バックストレートエンドでペドロサがトップに立つと、そこから少しずつロレンソとの差を広げていく。
しかし、強くなる雨足がレース続行を許さなかった。転倒者も続出し、危険と判断されたレースは14周目に赤旗が提示され、13周目のポジションで順位が確定した。
優勝はペドロサ。これで自信初の3連勝となり、2位に入ったロレンソとの差を23ポイント差とし、チャンピオンシップに望みを繋いだ。3位には復帰後初の表彰台となるストーナー、4位には今シーズンベストリザルトとなるニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)が入り、同僚のロッシも5位と続いた。ヤマハ勢はドビツィオーゾ、ベン・スピース、カル・クラッチローといずれも転倒し、リタイアという残念な結果になった。
残り2戦、チャンピオンシップ争いはロレンソが有利ではあるが、連勝を続けるペドロサも初のチャンピオンシップ獲得に向けて全てをかけて望んでくることは間違いない。また、次戦オーストラリアGPはストーナーの母国グランプリであり、5年間連勝という絶対的な強さを誇る。守りきれるか、攻めきれるか、母国で錦を飾れるか、三者三様が織り成すオーストラリアGPはフィリップアイランドで10月28日に決勝レースが行われる。(編集担当:加藤隆文)