ブームの去った発芽玄米、その再興はなるか

2013年01月19日 21:46

 年々減少している日本の米消費量。農林水産省のデータによると、1人1年当たりの供給量は昭和37年の118.3kgをピークに減少を続け、昨年度は約58kgにまで半減している。矢野経済研究所の調査では、2011年度米飯類市場は前年比106.3%と増加したものの、これらの増加は、昨年の震災を機とする備蓄需要が大きな要因となっており、2012年以降は備蓄需要も落ち着き市場は縮小すると見られている。

  一方で、玄米や古米・胚芽米などは、健康志向の高まりと共に90年代からブームとなり、出荷量が伸長していた。中でも、玄米をわずかに発芽させた発芽米は、出芽のために栄養を玄米の内部に増やしているため、玄米よりも栄養価が高く、また、白米と同様に炊飯できることから多くの企業が参入する市場となっていた。しかし近年はこの市場も落ち着き、ピークに達した2002年の約1500tから半減しているという。

  こうした状況を受け健康食品メーカーでは、単なる「発芽米」としての商品展開ではなく、付加価値を付けた商品や、他の商品に配合するなどして、市場の維持・拡大を図っている。例えば、山田養蜂場は、代表的な蜜源植物であるれんげの種を田んぼに蒔き、春に採蜜を終えたれんげ草を田んぼに鋤き込み肥料として活用する、昔ながらの農法で作られた「れんげ米」の玄米を発芽させた「発芽れんげ米」を販売。ヤクルトヘルスフーズが販売する「葉っぱのミルク」では、大麦若葉とケールの青汁に、豆乳やさとうきび糖とともに発芽玄米がブレンドされている。
 
 2010度の発芽玄米生産量は8, 753tで、前年比4.2%の減少となっている。一時期よりも半減した発芽玄米であるが、コメ加工品で8000t以上流通している商品は他にはなく、一定の市場を確保しつつあるともいえる。また、健康志向が定着しつつある一方で、タベラッテ研究所の調査によると、食生活に取り入れた経験があると回答された品目の中に、発芽玄米は入っていない。ある程度の評価はされつつも、一般に浸透した定評のある健康食とまでは至っていないということであろう。健康ブーム自体が沈静化しているわけではないため、先の例のような付加価値のある商品や新たな摂取方法の提案、そしてプロモーション次第では、再興が見込める市場の一つといえるのではないだろうか。(編集担当:宮園奈美)