メルセデスが“東京”をキーワードに開発・デザインしたモノスペースのコンセプトカー

2015年11月01日 10:03

Mercedes_Vision

東京で使うことを狙って、ガルウイング式の大きなドアは左側だけに装備する。この「VISION TOKYO」、意外に現実味があるコンセプトカーと思える。ふつうのミニバンとして作れば需要はありそうな気がする

 メルセデス・ベンツは、2015年10月28日に開幕した第44回東京モーターショーのプレスデーで、ワールドプレミア(世界初公開)となるモノスペースコンセプトカー「VISION TOKYO(ヴィジョン・トーキョー)」を公開した。

 混沌とした過密で猥雑な東京を未来のメガシティの典型と位置付けたメルセデス・ベンツは、東京モーターショー向けに世界初公開のコンセプトモデルだ。今年1月に同社がラスベガスで発表した「F015ラグジュアリー・イン・モーション」のワンボックスカーだと考えればいい。完全自動運転を前提にした未来のモビリティの可能性を提示したコンセプトカーである。

 説明に立ったメルセデス・ベンツのデザイン責任者、ゴードン・ワグナー氏によれば、ヴィジョン・トーキョーはデジタルネイティブ、つまり生まれた時にはすでにスマートフォンやSNSが当たり前になっていた、1995年生まれ以降のジェネレーションZの若いカスタマーのニーズに応える未来のクルマだという。

 「自動車をラウンジのように使うというコンセプトを具現化したカタチで、ヴィジョン・トーキョーが示す純粋性と官能性は、メルセデス・ベンツのデザインフィロソフィである“モダンラグジュアリー”に新たな解釈を加える。このクルマはメルセデス・ベンツの若々しい魅力と、メルセデス・ベンツが時代のスタイルに影響力を持つデザインを発信するブランドであることを示している。ヴィジョン・トーキョーは、グローバルに展開するメルセデス・ベンツ・アドバンスド・デザインスタジオのデザイナーたちによって考案されました」と述べた。

 初代トヨタ・エスティマを長く低くしたような幅の広いモノフォルムのボディの寸法は全長×全幅×全高4803×2100×1600mm、ボディの左側だけに、大きなガルウイングドアが1枚備わる。キャビンには周囲にソファが並ぶ大型バスのラウンジカーのような意匠。運転席さえも折り畳んで格納できる。クルマというよりもホテルの部屋に集まってWi-Fiで繋がったスマホでゲームやおしゃべりを愉しむという趣向である。

 メルセデス・ベンツでは、アドバンスド・デザインの取り組みについてグローバルなネットワークを展開しており、カールスバード(米国)、サニーヴェール(米国)、コモ(イタリア)、北京(中国)、ジンデルフィンゲン(ドイツ)の世界5カ所にアドバンスド・デザインスタジオを設置している。それぞれのスタジオではデザイン担当者やモデル製作担当者が、明日のクルマ、そしてさらに未来のクルマについてのアイデアを検討しているという。

 現在、日本国内ではハイエースに数100万円投じて大改造し、バニングを愉しんでいるユーザーが多い現実を見ると、このクルマがVクラス超の価格ならば、東京という都市のユーザーが興味を示す可能性は十分にあると感じたのは筆者だけではないと思う。(編集担当:吉田恒)