公的な婚活支援「ある程度すべき」が最多 厚労省調査

2015年11月08日 16:57

 公的な機関が「婚活支援」をすることについて、肯定的な人が4割――厚生労働省が先月27日公表した「人口減少社会に関する意識調査」で、こんな結果が明らかになった。調査は今年度版の「厚生労働白書」のために実施したもので、全国の15~79歳までの男女3000人を対象に「子育てや親世代との同居」「近所づきあい」などについて尋ねた。

 公的な婚活支援の取り組みに対する意見としては、「ある程度は取り組むべき」が40%と最多を占めている。次いで「最低限必要な範囲にとどめるべき」が23.6%、「積極的に取り組むべき」が19.6%だった。

 地方自治体が「お見合い事業」に取り組んできた歴史は、実は古い。60年代には、地方から都市部に人口が流出し、「農家の嫁不足」が深刻化した。団塊世代が「金の卵」と呼ばれ、集団就職で東京へ出てきた時代だ。その後も「農家の嫁不足」が改善されることはなく、80年代には過疎地域が「外国人花嫁事業」として、発展途上国から女性を連れてくるようなことも行われた。こうした事業は批判を浴び、今ではほとんど見られない。が、2000年代後半からは「婚活」ブームにより、一部で「官製合コン」が過熱化している。「出会いがない」若者たちが気軽に集まれるよう、料理やスポーツ、観光をからめた官製お見合いパーティーもある。

 少し前には、大分・豊後高田市の「縁結びお世話人」制度が賛否を呼んだ。独身男女の縁を結び、結婚、そして定住まで導ける人を「縁結びお世話人」として認定する制度で、養成講座の受講などを行う。みごと「縁結び」に成功した「お世話人」には、奨励金が支払われるというものだ。「そこまですべきか」との批判も浴びたが、今でも行われている。

 一方、厚労省の調査では、若者世代が結婚や出産などに「より前向きになるために必要なこと」として「安定した雇用と収入」が72.4%と最も高かった。次いで「安心して保育サービスが利用できること」が47.4%、「安心できる出産・小児医療の体制確保」が46.4%となっている。「官製お見合い」や「お世話人」もいいが、まずは男女ともに、安定した雇用と収入が必要ではないだろうか。(編集担当:北条かや)