積水ハウスが日本初となるマイクログリッドのモデル街区構築

2012年06月04日 11:00

 5月28日、積水ハウスが埼玉県・JR越谷レイクタウン駅南口に、日本初の「マイクログリッドゾーン」モデル街区を構築すると発表し、5月31日に積水ハウス、東芝、埼玉県、越谷市などがモデル街区の整備について協定を結んだ。スマートハウス(モデルハウス)とスマートショップ(店舗)とを結ぶ電力・情報通信網を構築し、12月にオープンする。

 積水ハウスがスマートハウス(モデルハウス)と店舗からなる「展示場ゾーン」を企画。モデルハウス見学後、店舗にてショッピングや休憩が可能であり、訪れた人々が長期間滞在し、様々な過ごし方ができる新しいモデルハウスの形態を提案している。さらに、植栽による緑陰効果、街路灯等のLED照明利用、保水性舗装など環境に配慮したゾーン計画も進められているという。

 この「展示場ゾーン」の中に、モデル街区「マイクログリッドゾーン」が設けられる。マイクログリッドとは、ある一定のエリア内に太陽光発電設備などといった複数のエネルギー供給源と消費施設とを併設し、組み合わせて制御することで、エリア内のエネルギーの安定供給を可能とする小規模な供給網のこと。いわばエネルギーの地産地消、ネットワーク内でエネルギー循環が完結していることがその特徴となる。今回発表されたモデル街区では、積水ハウスをはじめとする住宅メーカーが太陽電池・燃料電池・蓄電池・HEMS・スマート家電などを備えたスマートハウス(モデルハウス)7棟を出展し、スマートショップ(店舗)1棟とあわせてそれぞれの建物で発電した電力を融通し合う電力・情報通信網を構築。既存の電力系統からの受電も、「マイクログリッドゾーン」で一括して行われる。今回のプロジェクトでは、取得した技術情報の成果を広く一般に発信するだけでなく、技術発表会・見学会なども開催されるという。

 太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を効果的に組み合わせ、独自開発のHEMSにより自動制御する世界初のスマートハウス「グリーンファースト ハイブリッド」を軸としたスマートタウンの取り組みを進めている積水ハウス。既に、宮城県の「スマートコモンシティ明石台」、茨城県の「スマートコモンステージけやき平」において販売・入居が開始されており、今後も全国各地での展開が予定されている。今回のマイクログリッド構築への取り組みは、「スマートコモンシティ」が更なるエネルギーの自立を進める為の実証実験的な意味合いも持つであろう。かつて八戸市が市庁舎や市内の小中学校を対象にマイクログリッドの実証実験を実施していたが、実用化・事業化には至っていない。しかし今回は、スマートハウス先進企業の積水ハウスが実施するだけに、周囲の期待も非常に大きなものとなる。既存の電力系統が過去のものとなる日も近いのかもしれない。