ルネサスエレクトロニクス(ルネサス)が、映像や音声のデジタル信号のデコード(伸張)機能など、デジタル放送やインターネット放送受信に必要な機能を1チップ上に集積したシステムLSI「R-Home S1」を製品化したと発表。2012年5月からサンプル出荷を開始し、12月からは量産を予定とのこと。
新製品は、デュアルコアの「ARM Cortex-A9 MPCore」搭載により、ハイブリッドSTB向けシステムLSIでは、業界最高水準のCPU性能である5000DMIPSを実現。直感的な操作が可能な高品位なGUIを実現するために3Dグラフィックスエンジンも新規搭載している。その他、録画用、モバイル端末向け配信用にHD解像度対応の映像フォーマット変換器(トランスコーダ)を搭載、最新のセキュリティ仕様を実装した不正受信防止機能も内蔵している。また、1G/100MHz EtherMAC、PCI Express、SDIOインタフェースなどを搭載しており、高速インターネット対応や外付けデバイスによるWi-Fi対応が容易に。さらに、ハイエンドのハイブリッドSTB向けシステムLSIでは、業界最小クラスとなる27mm×27mmの小型パッケージ、および低消費電力を実現している。
近年、全世界で通信・放送・インターネットを融合したサービスが拡大中であり、これらのサービスに対応可能なハイブリッドSTBへのニーズが高まりつつある。また、STBで受信した放送コンテンツをスマートフォンなどのモバイル端末に配信するというようなニーズも出始めている。こういった背景のもと、同社の統合SoCプラットフォームによるホームマルチメディア向けシリーズである「R-Home」シリーズの第一弾製品として「R-Home S1」を投入。今後も第2世代品をリリースし、市場ニーズに即し、最適化した製品をタイムリーに市場投入していくという。さらにルネサスは、新製品をワールドワイドで積極的に拡販活動を進める予定であり、特に欧州衛星市場、中国ケーブル市場で、ハイブリッド STBの需要拡大が見込まれているため、これらの市場に向けて、新製品の販売を推進するとのこと。
ルネサスは、システムLSI事業においてデジタル放送受信に使用されるSTB用システムLSIを戦略製品のひとつと位置づけ、積極的に事業を推進。その出荷数量は2011年2月に累計1億個を達成している。今回発表された新シリーズは、日本の雄とも言えるルネサス が世界の半導体市場において、今後も存在感を示すことの出来るものとなるのであろうか。そして、エンドユーザーがより便利・快適にAVコンテンツを楽しむことを可能とする新シリーズの動向は、注目に値するであろう。