緑茶飲料の爆発的ブームが去り、ウーロン茶飲料もその生産用が減りつつある中で、2010年には麦茶やブレンド茶の生産量を追いぬき、年々着実にその生産量を増やしている紅茶飲料。今年も各飲料メーカーが積極的に新商品を展開し、更なる市場拡大を窺っている。
長らく紅茶飲料をけん引してきたキリンビバレッジの午後の紅茶シリーズは、エスプレッソティーやブラック無糖などといった商品を展開し、また折からの健康志向を受けて今月から、脂肪ゼロ・砂糖ゼロ・低カロリーミルクティーとしてラベンダーの香りが楽しめる商品を発売。アサヒ飲料も、2010年にティオブランドを復活させ商品展開をしているだけでなく、同社の主幹となっている十六茶シリーズから「こんがり焙煎ミルクティー」を販売している。また、伊藤園のティーズティーシリーズのチャイミルクティーなど、近時の生姜ブームと相俟って、チャイの商品も多く展開されている。
さらに、従来の主流であるストレートティー、レモンティー、ミルクティーでの展開だけでなく、この市場拡大を受けて広がりを見せているのは、個性的なフレーバーや嗜好の商品である。1992年から紅茶花伝シリーズを展開する日本コカコーラは苺ミルフィーユロイヤルミルクティーやスパークリングティーなどを発売。リプトンシリーズを展開するサントリーは、昨年10月発売のアップルティーを皮きりに、11月にはミックスベリー&ローズヒップを、今年1月からはピーチ&アロエティーの販売を開始している。また、ブレンドコーヒーや復刻堂シリーズの印象が強いダイドードリンコからも、アセロラ紅茶が今年の新商品としてラインナップしている。
また、不二家がネクターシリーズとして初の紅茶飲料、「とろける紅茶」を今月から開始することからも、飲料業界の積極的な紅茶市場開拓と、市場に寄せる期待の大きさが見て取れる。生産量や売上高でみれば、嗜好飲料としてはまだまだコーヒー飲料ほど一般的ではない紅茶飲料であるが、一時のブームとならずに市場を確保できるのか、今後の動向が楽しみである。