AI導入で年間100万時間超の削減も。事例が示す「考える仕事」へのシフト

2026年03月12日 17:54

画・Webマーケティングの課題。「経営者の理解」、「人材確保」。

「あったら便利」はもう古い。AI活用75%、会社員の評価を分ける壁

今回のニュースのポイント

・最新調査でAI導入率75.3%: 財務省が2025年12月〜2026年1月に実施した特別調査によると、AIを業務活用する日本企業は75.3%に達しました。2019年の調査(11.1%)から、約5年で大きく増加したことが示されています。

・大規模な業務時間削減を報告: 生成AIの活用により、GMOインターネットグループは年間推定107万時間、パナソニック コネクトは年間18.6万時間の削減効果を公表。事務作業をAIに任せ、企画立案などの業務に振り向ける取り組みが進んでいます。

・巨額投資によるインフラ整備: 日本オラクルが今後10年で80億ドル(約1.2兆円超)を投じてAI・クラウド基盤を拡充すると発表するなど、国内のデジタルシフトを支えるインフラ提供側の体制強化も報告されています。

 日本のオフィスにおいて、AIやクラウドツールは標準的なツールとして定着しつつあります。財務省が2025年12月から2026年1月にかけて実施した特別調査によれば、何らかの形でAIを業務に活用している日本企業は75.3%に達しました。2019年の調査では11.1%にとどまっていましたが、約5年で大きく増加しました。大企業では89%、中小企業では65%がAIを活用しており、財務省の調査では企業規模を問わず導入が進んでいることが示されています。

 この普及を支えている要因の一つが、クラウド市場の成長です。SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の浸透により、定額制で最新のAI機能を利用できる環境が整いました。2024年には日本オラクルが、今後10年で80億ドルを上回る巨額投資を行うと発表するなど、外資系・国内勢を交えたインフラ整備が加速しています。

 現場での具体的な活用は、「事務業務の代行」などを中心に具体的な成果が報告されています。GMOインターネットグループは、生成AIの活用により2024年9月時点で年間推定107万時間の業務時間削減を公表しています。パナソニック コネクトも、社内AIアシスタント「ConnectAI」により1年間で18.6万時間の労働時間削減を報告しています。これらの事例では、事務作業や情報収集をAIに任せることで生じた時間を、企画立案や意思決定などの業務に振り向ける取り組みが進んでいます。

 一方で、活用における課題も示されています。総務省の「令和6年版情報通信白書」によると、日本企業では生成AIを「活用する方針を定めている」と回答した割合が42.7%にとどまり、方針未策定の企業が半数超を占めています。ツールの導入に比べ、社内ルールやガイドラインの整備が遅れている企業も多いことが示されています。また、タスク管理ソフトウェアの世界市場について、Report Oceanの調査では2024年約41億ドルから2033年に約115億ドルと予測されており、今後10年前後でおよそ2〜3倍規模へ拡大すると見込まれています。

 企業の調査や事例では、チャットボット単体ではなく、複数のAI・クラウドツールを組み合わせて業務フローに組み込む動きが広がり始めています。AIを導入する企業が増えるなかで、各組織や個人がツールをどの程度活用し、業務の付加価値向上につなげられるかが、今後の生産性に影響するテーマになっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)