ポルシェ・タイカンはニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)においてフル電動4ドアスポーツカーの新たな基準を打ち立てた。ポルシェのテストドライバー、ラース・ケルン氏のドライブでタイカン・プロトタイプは7分42秒のラップタイムを記録した。20.6kmにおよぶサーキットはタイムアタックのコースとしても知られる。
なお、7分42秒というラップタイムは、同じポルシェの量産スポーツカーであるタイプ718型ボクスターと同じ。ちなみに量産FF車最速記録は、現行ホンダ・シビック・タイプRが記録する7分43秒8だ。
これでタイカンは3つのテストでその耐久性を実証した。最初のテストは電動スポーツカー、タイカンはテストとして26回連続で0-200km/h加速テストを行なった。その平均所要時間は10秒以下、最も速いタイムと遅いタイムの差はわずか0.8秒だった。
次のチャレンジはイタリア・ナルドの高速テストコースにおける24時間連続走行を実施。そこで一切のトラブルなく3425kmを走破した。
そして今回のニュルブルクリンクでのタイムアタックだった。このテストでタイカンは、高速域におけるパワートレインの素晴らしいパフォーマンスを示した。シャシーとエアロダイナミクスが寄与したのは言うまでもない。
タイカンは開発の初期段階からニュル・ノルドシュライフェのテスト走行をシミュレーターで重ねてきたという。このテストにおける目的は、ラップタイムに大きく影響する電力エネルギーの温度管理プロセスを知ることだったという。
ナルドの高速テストは195km/hから215km/hで走行を続けた。最高気温は42度、路面温度は54度に達する過酷な状況でタイカン・プロトタイプはその耐久性能を実証した。
タイカンは史上初の800Vシステムを備えた車両だ。これまでの電気自動車は400Vが一般的だったが、800Vで駆動力を得るタイカンは高いレベルでパフォーマンスを安定的に発揮することができる。
タイカンは高い効率を誇る2つのモーターを前後のアクスルに備える4輪駆動モデル。4輪駆動システムとトラクションコントロールは走行状況に応じて、素早く反応。片方のタイヤが空転したことを察知すると、電気モーターが瞬時にもう一方のタイヤに駆動トルクを伝える。
タイカンは、3チャンバーエアサスペンションとアダプティブエアサスペンションを備える。この革新的なシステムは、電子制御式のポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)とポルシェトルクベクタリング(PTV)、スタビライザーのポルシェダイナミックシャシーコントロールスポーツ(PDCCスポーツ)を含む。また、タイカンはリアアクスルステアリング(後輪操舵)と21インチタイヤも装備する。
今回のニュルにおけるタイムアタックは、ポルシェ初のフル電動スポーツカー、タイカンのサーキットにおける象徴的なパフォーマンスを示したといえる。(編集担当:吉田恒)