安倍総理には「公開質問に答える責任がある」

2020年06月28日 08:27

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自民党本部から河井両容疑者に提供された計1億5000万円の使途。買収原資をここからねん出しなかったか、中国新聞は1億5000万円のうち、1億2000万円が「政党交付金」からのものだったと報じた

 河井克行前法相(衆院議員)と妻・案里参院議員が昨夏の参院選挙で票取りまとめを頼む目的で広島県内自治体首長や議員らに金銭を配った公職選挙法違反(買収)の容疑で今月18日、東京地検特捜部に逮捕された。

 河井夫妻には国会議員として、国民に事実関係を説明する責任がある。何一つ答えていない状況は許されない。

 加えての問題は、自民党本部から河井両容疑者に提供された計1億5000万円の使途。買収原資をここからねん出しなかったか、中国新聞は1億5000万円のうち、1億2000万円が「政党交付金」からのものだったと報じた。

 政党交付金は国民1人あたり250円換算で国会議員数などに応じ、交付申請のあった政党に「政党助成金」として支給される。原資は我々の『税金』。言い換えれば税金で大規模買収が行われていたとすれば、河井議員の責任はもちろん、河井議員が逮捕される直前まで所属していた政党(自民党)と政党代表者である安倍晋三総裁の責任は当然、問われなければならない。

 立憲民主、国民民主、日本共産党など野党は24日、『河井買収事件実態解明チーム』初会合を開き、安倍総裁あてに(1)1億5000万円のうち、1億2000万円は政党交付金だったという報道が事実か(中国新聞が詳しく報道)。(2)河井両容疑者の政党支部への党本部からの入金年月日、入金額(昨年4月15日、案里氏の第7支部へ1500万円、5月20日に3000万円、6月10日に3000万円、克行氏の第3支部へ4500万円、6月27日に3000万円は事実か)を『29日正午までに回答するよう』公開質問状を同日送付した。

 破格の厚遇で河合案里議員の選挙を応援した安倍総裁。同じ選挙区で戦い、落選した自民党・当時現職だった溝手顕正元防災担当大臣には河井容疑者に提供した資金の10分の1しか提供しなかった。

 しかも、案里容疑者のところには安倍氏の複数の秘書が広島に乗り込み、企業や団体を回り、支援を呼び掛けていた。党本部が陣営に提供した1億5000万円が買収利用を理解し、総裁として決裁していたとすれば、安倍総裁には「買収目的交付罪」の疑いがある。

 案里容疑者は自身の事務所で繁政秀子府中町議会議員に現金30万円を渡す際「安倍さんから」と手渡したことが報じられている(中国新聞が同町議の証言から引き出し報じた)。

 河井夫妻容疑者が現金を配布した先は94人、計約2600万円に上るという。ここにきて金銭を受領し、辞職する自治体首長も出てきている。公党として説明責任を果たすとともに、安倍総裁は買収に自身の名前まで使用されていることを黙殺せず「公の場で」説明することが総理・総裁の責任といえよう。最低限「公開質問に答える責任がある」。(編集担当:森高龍二)