改正物流法施行から約1年 「運ばせる側」の意識はどう変わったのか

2026年02月11日 14:03

画・物流業界が「無人化」へ大きく前進

長年、物流現場に無理を強いてきた発注者(荷主)優位の構造にメスを入れたこの法律は、この1年で産業界をどう変えたのか

 2025年4月の改正物流効率化法の施行から、まもなく1年が経過しようとしている。長年、物流現場に無理を強いてきた発注者(荷主)優位の構造にメスを入れたこの法律は、この1年で産業界をどう変えたのか。

 ■実名公表の威圧感と、動き出したCLO

 昨年の施行以来、大手メーカーや流通企業で最も大きな変化は、役員級の物流統括管理者、いわゆるCLO(Chief Logistics Officer)の選任が義務化されたことだ。これにより、物流が単なる現場のコストから、経営陣が責任を持つ経営課題へと格上げされた。

 特に企業が敏感になっているのは、国による勧告や社名公表というペナルティである。施行から1年が経ち、荷待ち時間の削減に向けたシステム投資や、倉庫の積み込み枠の予約制導入が急速に普及した。かつては数時間待ちが当たり前だった現場でも、コンプライアンスの観点から、待たせない物流への移行が、大手を中心に目に見える形で進んでいる。

 ■競合から協調へがもたらした物流網の再編

 施行後のこの1年で最も加速したのは、ライバル企業同士による共同配送の深化である。 味の素やカゴメなど食品大手5社が出資するF-LINEの事例に象徴されるように、自社専用の物流網に固執せず、競合他社とトラックをシェアする動きは、もはや特殊な事例ではなくなった。これは、単独では改正法が求める積載率の向上や長時間労働の是正をクリアできないという、産業界の切実な危機感の表れでもある。

 ■消費者への波及と適正コストへの理解

 施行から1年を経て、消費者側にも変化が及んでいる。EC大手をはじめ、再配達を減らすためのポイント付与や、玄関先への置き配の標準化が定着した。これまで送料無料という言葉の裏に隠されていた物流コストを、社会全体で負担し、維持していくという意識改革がようやく始まっている。

 産業界にとって、2025年4月の法施行はゴールではなく、持続可能な物流への長い戦いの始まりであった。施行から1年が経った今、問われているのは一時的な対応ではなく、物流を止めることなく、いかに付加価値を生み出し続けるかという、企業の真の変革力である。

 物流の正常化は、企業の努力だけで完結するものではない。かつての当たり前を支えていた現場の疲弊を知った今、私たち消費者にも、サービスの裏側にあるコストを正当に評価する姿勢が求められている。4月の施行から始まったこの変革が根付くかどうかは、社会全体で物流を支えるという共通認識をどれだけ深められるかを問われている。(編集担当:エコノミックニュース編集部)