今回のニュースのポイント
・1950年代半ばから1973年頃の高度経済成長期には、平均およそ9パーセント前後という高い成長率を背景に、若年期の低賃金を将来の昇給と退職金で補填する「後払い型」の報酬構造が成立していた。
・1991年のバブル崩壊以降、平均0.7パーセント程度の低成長が続いた「失われた30年」において、企業側が将来の報酬を制度的に保証する力は弱まり、多くの東証プライム企業が成果主義的な評価を導入するに至っている。
・副業を認める企業がおよそ3割前後まで拡大しているとの調査もあり、従来の「忠誠イコール将来の安泰」という方程式が弱まる中で、個人のスキルを市場に証明する自律的なキャリア形成が求められている。
1950年代半ばから1973年頃の高度経済成長期、日本企業の多くは、若年期の貢献を低賃金で抑える代わりに、将来の昇給と手厚い退職金を約束する後払いシステムを運用していました。これは、平均およそ9パーセント前後という圧倒的な成長率を背景に、将来の利益をあらかじめ約束できる構造があったからこそ成立したものです。しかし、1991年のバブル崩壊後、平均0.7パーセント程度の低成長が30年以上続くと、企業側が数十年先の報酬を制度的に保証する力は弱まりました。
現在、多くの東証プライム企業において成果主義的な評価が取り入れられており、評価の軸は、長く尽くしたかから、現在どのような価値を生み出しているかという即時評価へと移行しています。1990年代後半からは非正規雇用の拡大も進み、労働市場全体で忠誠に対する定型的な見返りよりも、個別の専門性や実績を重視する傾向が強まりました。中小企業庁のデータでは約8割の企業が退職金制度を維持していますが、企業再編や早期退職といった不確実性の高まりにより、制度的な保証はかつてより弱まっているのが実情です。
読者の皆さんに強調したいのは、この変化は真面目さが無価値になったことを意味するのではないという点です。むしろ、信頼の基盤としての誠実さは、不確実な時代において希少価値を高めています。ただし、その報われ方は一社への忠誠から、市場全体での信頼獲得へと変化しています。
副業を認める企業がおよそ3割前後まで拡大しているとの調査もあり、働き方の自律化は加速しています。これからの時代は、誠実に業務を遂行しつつ、資格取得やポートフォリオ作成などを通じて、自身のスキルを市場に証明していくことが重要です。転職市場や社内公募、あるいは社外のプロジェクトなど、複数の評価チャネルを意識し、自分の誠実さを正当な報酬へと繋げるための多角的な視点を持つことが、現代を生き抜くための現実的な処方箋となるはずです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













