中小受託取引適正化法(取適法)完全施行、書面交付・支払60日義務化の留意点

2026年02月25日 18:03

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取適法で変わる発注実務 口頭発注の制限と「支払60日ルール」の遵守が必須に

今回のニュースのポイント

・書面交付の徹底:取適法により、個人や小規模受託者への発注時には詳細な書面(または電子メール等)の交付が義務付けられました。口頭のみの発注は認められません。

・支払期日の遵守:役務の提供または検収完了から60日以内に支払う義務があります。これは再委託取引においても例外ではなく、元請けからの入金待ちによる遅延も認められません。

・運用の注視:公正取引委員会は現在、新法の運用状況を注視しており、事業者は自社の発注フローやシステムが法改正に対応しているか、改めての点検が求められています。

2026年1月より完全施行されている「中小受託取引適正化法(取適法)」に基づき、事業者は個人や小規模な受託者との取引において、適正な対応が求められています。この法律は、従来の「下請法」では対象外となっていた取引形態を含め、立場の弱い受託者の利益を保護することを目的としています。

 実務上、特に留意が必要なのは「書面による通知義務」です。取適法では、発注時に委託内容、対価、支払期日などを記載した書面、または電磁的方法により速やかに通知することが義務付けられています。これにより、一部で見られた「作業開始後の条件決定」は法令違反となるリスクを孕むことになりました。追加の作業依頼が生じた場合も、その都度、変更内容を通知する運用が基本となります。

 次に、支払期日の設定についても厳格なルールがあります。特定受託事業者が役務を提供した日から起算して、60日以内の出来る限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません。再委託のケースであっても、元請け企業からの支払いの有無を理由に支払いを遅延させることはできません。

 企業実務の視点からは、取引の透明化がトラブル防止に繋がるという期待がある一方で、頻繁な発注変更が生じる現場では事務負担の増加を懸念する声も上がっています。公正取引委員会は現在、新法の運用状況を注視しており、今後は実態に即した是正指導等が行われる可能性もあります。事業者は、現場担当者への教育も含めたコンプライアンス体制の再整備が重要となっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)