微生物を「特性」で検索する時代へ。国内初の統合DB公開、バイオ開発の効率が一変

2026年04月06日 13:07

今回のニュースのポイント

国内初の特性検索型・統合データベース:NITEのNBRCや米JGI GOLDなど、複数の主要データベースを統合。培養温度、pH、酸素要求性などの特性から微生物を日本語で横断検索できます。

約6万7,000件の膨大な知見を可視化:分散していた膨大な微生物株情報を集約し、培養温度やpH分布をヒストグラム等で視覚的に確認しながらの探索が可能です。

スマートセル開発のボトルネックを解消:初期段階での最適な微生物選定を効率化することで、試行錯誤の時間を削減し、バイオものづくりのスピードを底上げします。

 バイオものづくりの分野において、微生物選びの前提が大きく変わり始めています。NEDOの委託事業において、NITE(製品評価技術基盤機構)は、世界中の主要データベースに収載された微生物種の中から、特定の性質を持つものを横断的に検索できる「微生物選定支援ツール」を開発し、運用を開始しました。

 従来、物質生産能力を人工的に向上させた「スマートセル」の開発では、スタート時に作りたい物質や生産条件に適合した微生物を選定することが最重要課題でした。しかし、培養温度やpH、酸素要求性といった特性情報は複数のデータベースに分散しており、研究者が個別にあたりをつける作業が大きな負担となっていました。今回の統合データベースにより、約6万7,000件に及ぶ微生物情報を特性ベースで一気に絞り込むことができます。

 本ツールの大きな特徴は、学名などの名称検索に加え、培養温度やpH、好塩性といった特性分布をヒストグラムで確認しながら日本語で条件を絞り込める点にあります。例えば、特定の温度条件や酸素要求性を手がかりに、CO2固定や特定物質の生産に適した可能性のある候補種を世界の主要データベースから一括で探索できるようになりました。これにより、設計(Design)から学習(Learn)までを回す「DBTLサイクル」における初期の探索・選定時間が大幅に短縮される効率化が期待されます。

 この基盤技術は、特にグリーンイノベーション基金事業が推進する「カーボンリサイクル(CO2を原料とした燃料やプラスチック生産)」の効率化に直結します。最適な生産株の候補を短時間で見つけ出すことで、バイオ素材や高機能ポリマーなどの次世代産業の基盤強化が期待されます。NEDOとNITEは今後も利用者のニーズに応じた機能拡充を図る方針で、データ駆動型のバイオものづくりプラットフォームとしての役割を強めていく見込みです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)