乾燥と紫外線。春の二重リスクをケアする「複合型機能性コスメ」とは

2026年04月12日 09:15

画:取:事前シミュレーションで問題なし 育休明けの職場復帰

春の肌を襲う「乾燥+紫外線」の二重リスク 保湿×機能性の新常識

今回のニュースのポイント

・春は「乾燥ダメージ+紫外線」の二重リスクで肌トラブルが起きやすい

・シワ改善などのエイジング対策と美白(紫外線によるシミの予防)を同時に行うケアの重要性がますます高まる

・適度な油分を与えて保湿をしないと逆にバリア機能が低下しやすい

・スキンケア市場は「保湿+機能性の一体化」へシフト

漸く本格的な春になったのに、肌の調子が安定しない——。

 乾燥しているのにベタつく、急に毛穴やシミ・くすみが気になるといった違和感を覚える人が見られます。

 冬の乾燥ダメージが残ったまま、急激に増える紫外線や花粉にふれることで、肌は複合的な負担を受けやすい状態にあります。いわば、弱った状態に外的刺激が容赦なく重なる「二重リスク(ダメージ)」の季節です。

 春の肌トラブルは、いくつかの段階を経て起きやすくなります。まず冬の乾燥によって角層の水分量が低下し、バリア機能が弱まります。その状態で春に入り紫外線量(特にUV-A)が増加すると、メラニン生成によるシミ、コラーゲンの変性によるシワ、さらに炎症や赤みといった反応が同時に進行します。土台が弱った状態で外部負荷が加わる構造です。

 こうした変化を背景に、スキンケア市場では「保湿と機能性を一体で提供する」という方向性が強まっています。

 例えば資生堂は、ナイアシンアミドなどの有効成分を軸に、シワ改善と美白(シミ予防)を同時に訴求する製品を展開しています。乾燥によって乱れた角層環境を整えながら、メラニン生成の抑制やシワへのアプローチを組み合わせる設計で、「保湿を前提とした機能性ケア」という考え方を前面に打ち出しています。

 花王(ソフィーナなど)は、長年の角層研究やセラミド研究をベースに、バリア機能そのものを維持・回復させるアプローチを重視しています。外部刺激から肌を守る“防御力”を高めることで、結果としてシミやシワの発生要因を抑えるという発想で、保湿と機能性を構造的に結びつけた処方を強化しています。

 コーセーも、高保湿と美白有効成分を組み合わせた複合型製品を拡充しています。角層の水分保持を高めることで肌全体のコンディションを底上げしつつ、美白有効成分によるメラニン生成抑制を同時に行う設計で、「うるおい」と「シミ予防」を一体で提供する流れを広げています。

 共通しているのは、単に機能を追加するのではなく、「保湿によって肌の土台を整えたうえで機能性を発揮させる」という設計です。違いは、浸透技術を軸にするか、バリア機能の強化を重視するか、あるいは成分の組み合わせで差別化するかといったアプローチにあります。

 この流れを自社開発のオリジナル成分と併せてどう取り込むかという点で、山田養蜂場の動きも一例といえます。同社の「RJエクセレント 薬用リンクルクリアクリーム」は、ローヤルゼリー由来の独自保湿成分によって角質層の水分保持とハリに着目し、有効成分ナイアシンアミドを配合することで、シワ改善と美白の両方に対応する設計となっています。

 特徴的なのは「美肌土台力」という考え方です。乾燥や加齢などで本来の働きが低下した角質層を整えることを前提に、その上で別の機能を加えるという二層的な発想であり、保湿を単なる補助ではなく土台力の強化として再定義しています。重要なのは個々の成分ではなく、こうした複合的な処方設計にあります。

 生活者の行動にも、この構造は影響を与えています。春~夏はベタつきを避けてクリームなどの油分を減らしがちですが、バリア機能が低下した状態では、むしろ紫外線や花粉の影響を受けやすくなります。「ベタつき=悪」と単純に捉えるのではなく、「インナードライ」の状態を防ぐための保湿が重要になります。

 実際、乾燥した肌ほど表面はテカりやすく、内部は水分不足という状態になりがちです。この状態で紫外線などの外的刺激を受けると、小ジワやくすみが進みやすくなります。春こそ「守るケア(保湿・バリア)」の上に「攻めるケア(シワ・シミ対策)」を重ねる発想が求められます。

 今後のスキンケア市場は、単機能から複合機能へ、さらに季節や環境に応じて最適化する「環境適応型」へと進むとみられます。簡単・時短といった手軽さも重宝される中で、どのように肌の土台力を維持しながら機能性を取り入れるかが重要な視点になっています。

 春の肌トラブルは、生活者側の環境適応と、企業側の製品設計提案が交差する領域でもあります。日々のスキンケアの選択は、気候や紫外線による肌環境、さらには企業の研究開発の方向性ともつながっています。季節の変化による肌不調を丁寧に保湿した上で、「どんな肌をめざしたいか」によって、自分の肌に必要な機能が見えてきます。それは、これからの選択において重要なカギになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)