建設現場はなぜ遠隔化するのか NTT実証が示す「1人施工」の現実

2026年04月13日 10:51

画・ゼネコン大手4社、10年ぶりに減収へ。中小の関連破綻、加速の懸念。

重機はなぜ遠隔で動くのか 通信進化が変える建設現場と人手不足

今回のニュースのポイント

複数重機を1人で遠隔操作・自動制御する実証に成功:三重県内の2拠点間を接続し、通常は3人で実施する複数重機の作業を、1台の操作卓から切り替えながら1人で実施できることを確認しました 。

低遅延通信技術を最適に組み合わせ:超低遅延の「IOWN APN」に加え、現場内をカバーする「ローカル5G」と高精細映像伝送に優れた「WiGig」を使い分ける環境を構築しました 。

実際の施工工程を一気通貫で再現:油圧ショベルでの掘削・積込、ダンプでの運搬、ブルドーザーでの敷均しという一連の工程を、全て遠隔操作および自動制御で実施しました 。

建設業の人手不足解消への貢献:遠隔拠点から複数の重機を管理・操作できる技術により、生産性向上と将来的な技能者不足の課題解決を目指します 。

 これまでの建設現場では、基本的に重機ごとにオペレーターが乗り込み、個別に操作するのが一般的でした。しかし、NTT、NTT東日本、大成建設の3社が三重県で行った実証実験は、従来の施工のあり方に変化をもたらす可能性があります。三重県桑名市の遠隔操作拠点と員弁郡東員町の実証現場間を次世代ネットワークで接続し、1台の操作卓から異なるメーカーの重機3台を遠隔操作・自動制御することに成功しました。

 今回の実証の特徴は、通常は3人のオペレーターが分担する掘削・積込、運搬、敷均しという一連の施工工程を、1人のオペレーターが操作卓で対象を切り替えながら担えることを示した点にあります。大成建設の接続切替システムを活用することで、メーカーの異なる重機に対しても、同一の拠点から安定して制御信号を送ることが可能になりました。

 これを支えているのが、NTTグループが推進する「IOWN APN」をはじめとする複合的な通信環境です。拠点間を繋ぐIOWN APNは「低遅延・遅延ゆらぎ(ジッタ)なし」という特長を持ち、遠隔地からのリアルタイムな操作を可能にしています。また現場内では、約300mの広域をカバーするローカル5Gと、旋回時でも途切れない大容量通信を実現する60GHz帯無線LAN(WiGig)を併用しました。WiGigと組み合わせたネットワークでは、End-to-Endで遅延を数ミリ秒程度に抑えており、オペレーターは従来の同一敷地内での操作と同等の精度で操作を行うことができました。

 建設業界では現在、技能者不足や長時間労働の是正が深刻な課題となっており、施工のオートメーション化が急務です。本技術が普及すれば、技能者が現場に常に張り付くのではなく、遠隔拠点から複数の現場や重機をまとめて管理する、いわば「建設現場の工場化」に近い運営も視野に入ってきます。

 今後は、2026年度に予定されている大型造成工事での実証や、2027年度をめざすダムの堆砂対策への適用など、実際の現場への導入可能性について共同検討が進められる予定です。重機の遠隔化は単に作業を省人化するだけでなく、1人の技能者がより安全に、より高い生産性で複数の役割をこなすことを可能にする、人手不足が続く建設業において、生産性向上を支える有効な手段の一つとなる可能性があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)