企業倒産1万件超え 中小企業に何が起きているか

2026年04月08日 18:21

今回のニュースのポイント

企業倒産は1万425件と2年連続で1万件超:前年度比3.5%増となり、4年連続で前年度を上回る増勢が続いています 。

物価高と人手不足が中小企業を直撃:物価高倒産(963件)と人手不足倒産(441件)がともに過去最多を更新し、中小企業の経営を圧迫しています 。

小規模企業の倒産が大半を占める:負債5000万円未満の倒産が比較可能な2000年度以降で最多を更新し 、全体の6割以上を占めるなど零細規模の崩壊が目立っています 。

「需要はあるが利益が出ない構造」が背景:多くの業種で需要は一定程度維持されているものの、コスト上昇分を販売価格に転嫁できず、資金繰りに行き詰まるケースが急増しています 。

 企業倒産が再び増加しています。帝国データバンクの調査によると、2025年度の企業倒産件数は1万425件と4年連続で増加し、2年連続で1万件を超えました 。今回の集計で特筆すべきは、件数が増える一方で負債総額は前年度比31.0%減の1兆5537億8100万円に大きく減少した点です 。これは負債5000万円未満の小規模倒産が2000年度以降で最多を更新するなど 、地域経済の基盤を支える中小・零細企業が中心となって崩れている現状をはっきりと示しています 。

 その大きな要因となっているのが、物価高と人手不足のダブルパンチです。燃料費や原材料費の上昇を背景とした「物価高倒産」は963件 、人件費高騰や採用難による「人手不足倒産」は441件と 、いずれも過去最多を大幅に更新しました 。多くの業種で需要は一定程度維持されているにもかかわらず、それに対応するためのコストだけが上がり続ける「コスト先行型」の苦境が鮮明になっています 。

 ここで起きているのは、いわば「売れても儲からない経済」です。従来は需要の減少が倒産の主因でしたが、現在は「売上はあるが、利益が出ない」ことが致命傷となっています 。実際、同社の調査によれば価格転嫁率は42.1%にとどまっており 、取引上の立場が弱い中小企業ほど、コスト増を自社で飲み込まざるを得ない状況にあります 。

 こうした状況は、単なる需要不足ではなく「供給側の制約」と捉えるべき局面に入っています。働き手が確保できず、さらにコストが収益を上回ることで、現場の負担が限界に近づいています 。この影響は雇用の不安定化や地域インフラの弱体化を招き、「身近な店がなくなる」「サービスが維持できない」といった形で、私たちの生活にも徐々に表面化しています 。

 今後の見通しについても、高水準の賃上げ継続や不透明な海外情勢によるコスト増が懸念される中、帝国データバンクは2026年度も倒産が増勢をたどる可能性が高いと警告しています 。今回の倒産増加は、一時的な景気の波ではありません。日本経済は今、中小企業の収益構造と取引慣行そのものを抜本的に問い直す、転換点に差し掛かっている可能性があります 。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)